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「水虫が足裏のがんに関係している可能性が高いことがわかりました。水虫の治療や予防をすることで、足裏のがんの予防にもつながると期待しています」

 

そう話すのは、東京慈恵会医科大学(皮膚科学講座)の研究グループで水虫と足裏のがんの関係を調査している教授の延山嘉眞さん。

 

延山さんらの研究グループが、足裏にがんがある患者30人と、足裏にがん以外の皮膚疾患がある患者84人を調査したところ、後者で水虫に罹患していた割合は29.8%にとどまったが、前者では60%と有意な差が見られた。

 

これによって、足裏にできる“メラノーマ”というがんには、水虫の要因である“白癬菌”が深く関与していることがわかったのだ。

 

延山さんは、発症のメカニズムを、こう推察する。

 

「胃の中にピロリ菌が何十年もいると、胃に炎症が起きやすく、その結果、胃がんの罹患率も高いことがわかっています。

 

白癬菌も同じで、長年足裏に生息することで足裏の免疫環境が悪化し、メラノーマを引き起こすのではないかと考えています」(以下、「 」は延山さん)

 

■不特定多数が素足でいる場にいたときは足を洗おう

 

メラノーマは、「日本では年間10万人あたり1~2人というまれながん」だが、油断は禁物だ。

 

「日本では足裏に発生することがもっとも多く、発見が遅れて他臓器に転移すると5年生存率が約405以下と低い。ふだん足裏をチェックする人は少ないので、気づいたときには進行していたという方も少なくありません」

 

特に、かゆみがなく患部がかさかさしているだけの水虫は要注意。 「たとえば、足の裏がかさかさしている方のなかには、乾燥などが原因の場合もあれば、白癬菌が原因のこともあります。また、爪が白くなってボロボロになっている方は、爪に白癬菌が入りこんでいる場合も多い。ただ、どちらもかゆみがない場合もあるので、受診が遅れがちです」

 

何十年も白癬菌に感染したまま放置していると、メラノーマに罹患するリスクが高まる可能性が考えられるという。

 

「白癬菌かどうかは、検査しなければわからないので、疑わしい場合は必ず受診しましょう。とくに糖尿病の方は、白癬など感染症にかかりやすいので注意しましょう」

 

メラノーマのリスクを下げるためには、まず水虫にならないよう、予防をすることだ。

 

「公衆浴場やジムなど、不特定多数の方が利用し、かつ床の湿度が高い場所は白癬菌がいる可能性が高い。利用したあとは、足を洗って清潔に。裸足の季節なのでサンダルを履くことも多いでしょうから、座敷などに素足で上がった場合も同じです。家族に水虫になっている方がいる場合、きちんと治療してもらうこと。バスマットなどの共有は避けましょう」

 

さらに、パンプスなど蒸れやすい靴を長時間履くことも避けたい。

 

定期チェックも忘れずに。ほくろとメラノーマの見分け方を図にしておいた。参考にしてほしい。

 

水虫の予防と、定期的な足裏チェックで、メラノーマを防ごう!

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