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安心な老後を送るため、2千万円の貯蓄が欲しい。だが、あまたある貯蓄法のなかで、どれを選べばいいか迷っている人も多いはず。お金の専門家と一緒に考えました。

 

6月7日「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の掛金上限の引き上げを国が検討していることが明らかになった。iDeCoは公的年金に上乗せする“自分年金”。働き方により掛け金の限度額は異なるが、掛け金の「2倍以上に増額」を推す声もあるという。

 

また、会社を通じ給料から天引きで積み立てる「財形貯蓄」も、加入年齢を55歳未満から70歳未満に引き上げることも検討する。働く高齢者が増えたことが後押しだという。

 

国は、老後資金のための制度改正に躍起だ。2024年は「NISA(小額投資非課税制度)」の非課税保有期間が無期限化されるなどの改正があったばかり。

 

「できるだけ長く働いて、老後資金は自分で蓄えてという国からのメッセージを感じます」そう話すのはファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。

 

「みんながやっているから、早く新NISAを始めなきゃ」と焦って相談に来る人もいるという。

 

「名前は知っていても、中身は複雑でわからない。選択肢が多すぎて選べない、難しいと思う人も多いでしょう」(高山さん、以下同)

 

そこで、老後資金づくりによく利用されるものを、高山さんに多方面から分析し、A~Dランクの格付けをしてもらった(NISAやiDeCo、企業年金は投資信託での運用を想定)。Aに近いほど、優れていることになる。

 

■それぞれの特徴を知り分散投資を心がけよう

 

「『NISA』は元本割れの恐れがあるので安全性はCでしょう。リターンは運用次第ですが、高利回りの可能性に期待してB。限度額は一生涯で1800万円に拡充されたのでB。売却や出金はいつでもOK、自由度はAでしょう。

 

運用益は非課税ですが、掛け金の所得控除などはありません。節税効果はCですね」

 

同様に「iDeCo」も見ていこう。安全性、リターンは投資信託で運用するならNISAと同じ。

 

「iDeCoは限度額の低さと、60歳以降しか引き出せないため自由度がD。半面、運用益の非課税、掛け金の所得控除、受け取り時の控除と、節税効果はAです」

 

「財形貯蓄」の長所は、限度額の縛りがないA。だが、リターンや節税効果は大きく望めないのでC。

 

「解約などの手続きに勤務先の上長の決済印が必要で面倒だという人が多いです。自由度もCですね」

 

「企業年金」の多くは企業型確定拠出年金(企業型DC)だが、iDeCo同様、60歳以降しか引き出せない自由度の低さがDだ。

 

「自営業者などを対象に、国民年金の上乗せとなるのが『国民年金基金』です。iDeCo同様、掛け金の所得控除があり節税効果はA。リターンは低いのですが、死ぬまでもらえる終身年金はありがたいので、Cにしました」

 

やはり、もっとも安全性が高いのは「預貯金」だろうか。

 

「預貯金は、仮に金融機関が破綻しても元本1千万円とその利子まで保証されます。また、『個人向け国債』は国にお金を貸すので、日本が破綻しない限り大丈夫。この2つは安全性が高いでしょう。

 

ただ個人向け国債は契約から1年間換金できないので、自由度をBにしました。リターンは預貯金、個人向け国債ともにDですが、今後金利が上がれば、10年変動国債のリターンが伸びる可能性が」

 

最後の「株式投資」は限度額の規制もなく自由度マックス。あくまでも自己責任だが、ハイリスク、ハイリターンを期待できる。

 

「どれも一長一短ありますが、自分の性格や現状の貯蓄額などを考えて選ぶことが大切です。ただし『株式投資だけ』などと一極集中はNG。必ずリスクは分散しましょう」

 

そのために重要なのは組み合わせだ。慎重派、バランス派、冒険派の3通りに合う賢い組み合わせを高山さんに教えてもらった。

 

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