この夏は品薄になった米の販売を制限しているスーパーも(写真:時事通信) 画像を見る

「3軒のスーパーをまわったけどお米の棚はどこもスッカラカン。玄米も売り切れていたからパックのご飯を買いました。毎日食べるものだから、しかたないわね……」

 

と、ため息交じりに語ったのは都内に住む70代の女性だ。

 

米不足が続いている。米流通評論家の常本泰志さんが解説する。

 

「あらゆるメディアで昨年の猛暑で米の供給量が見込みよりも少なかった一方、外国人旅行客の増加にともなう米の消費が増加したため、と報じられていますが、実際は、くず米の収穫量が少なかったことが第一の要因でした。

 

需要と供給のバランスが崩れたことに加えて、新米が出回る前の最も米が品薄のタイミングで台風が首都圏を直撃したり、南海トラフ地震臨時情報が発表されたりして、非常用として米の買いだめが増加。米不足がさらに加速し、とりわけ首都圏や関東圏のスーパーでは、店頭から米が消えたり、購入制限したりする動きが広がっているのです」

 

民間に流通する在庫量は、156万t(6月時点)で、記録を取り始めた1999年以降ではもっとも少なくなっている。このような米の品薄が、米の価格の高騰を招いていると常本さんがこう続ける。

 

「スーパーの即売で、宮崎県産のコシヒカリが昨年は5kg1千880~1千980円でしたが、7月末に収穫された新米は5kg3千円前後と6割も上昇しました。これは高級米といわれる魚沼産コシヒカリとさほど変わらない価格です。

 

各地の農協が支払う概算金が、農協以外の業者の買い込みの影響で、千葉県産の早場米が例年より60kgあたり5千円ほど、福井県産でも4千円ほど高く、店頭では、さらに高値の取引となっています」

 

この令和の米騒動はいつまで続くのだろうか?

 

「昨年、米どころの北信越や東北地方でフェーン現象(異常高温)が頻繁に起こり、稲にダメージを与えました。今年はフェーン現象が少なかったこともあり、米づくりの現場では、稲の枝分かれである『分けつ』が旺盛で豊作が期待されています。ただし、これから秋にかけての台風や、カメムシやウンカなどによる害虫被害などによって左右されるので収穫するまでは誰もわかりません」(常本さん)

 

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