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「私立中学に通う息子がいじめに遭ってます。最初は仲間からは無視され、私物を取られたりしていたのが、その後暴力にまでエスカレート。学校側も気づいているのですが、解決しようとしない。どうしたらいいのでしょうか」

 

自分の子どもがいじめに遭っている。でも学校もそんな事態を隠そうとしている。苦悩する親から、毎日このような相談を受けている探偵会社がある。

 

T.I.U.総合探偵社(東京)――。これまでに、全国から5,800件以上のいじめ相談を受け、聞き取り後、実際に調査を行った数は360件に上る。今では1日平均で1~2件の相談がくるというから、まさに“いじめの駆け込み寺”のような探偵会社だ。

 

「’04年に、万引で学校から処分を受けたAくんの親御さんから、『本人がやったことは間違いないが、誰かにいじめられて無理やりやらされているようだ。証拠がないと学校も動かない。調査をしてほしい』という依頼がありました。われわれは、学校の中に入れないので、調査はできないと2度断りました。それでも『お願いします』と頼み込まれ……。それで『結果が出ないかもしれませんが、いいですか?』と、チェレンジする感じで引き受けたのが、いじめ調査を始めたきっかけでした」

 

そう語るのは、同探偵社の阿部泰尚代表(41)。実際に調査を開始すると、やはりAくんは万引を強要されていることがわかった。

 

「コンビニの前で、3人組から『○○を取ってこい!』と強要されている声をICレコーダーで録音。3人組は、万引の様子を動画で撮って、それをネタにAくんをさらにゆすろうとしていました。張込み中のわれわれは、3人組に正体がバレないように万引を止めました。後でAくん宛てに『何で取らなかったんだ!』と送られてきたメールなど、そのほかいくつかの証拠を積み上げた結果、『学校側から処分を取り消す方向になった』という連絡がありました」(阿部代表・以下同)

 

じつは、いじめ調査は無償で行われている。阿部代表は、いじめ専門のNPO法人ユース・ガーディアンを立ち上げ、いじめ問題の解決に取り組んでいるのだ。そのため、いじめ調査で年間3,000万円の赤字が出る年も。

 

「うちの探偵会社には15人のスタッフがいますが、みんな『もうやめてくれ!』と言います(笑)。ただ、みんな文句を言いながらもやってくれています。通常の探偵業務は契約事なので、きっちりとやります。繁忙期もあるので、その場合は本業の調査を優先して、いじめの案件は僕が動く、そういう感じでやっています」

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