イランでの軍事衝突による原油価格の高騰や原油由来のナフサ不足などで、さらなる物価高の脅威が迫っています。ですが「食品消費税がゼロになるはず」と望みを託す人もいるのでは。消費税減税の今後を考えてみましょう。
2月の衆議院議員選挙で、自民党は「2年間限定の食品消費税ゼロ」を公約に掲げ、高市早苗首相は「私の悲願」と訴えました。そして、自民党は歴史的大勝。衆議院では圧倒的多数を占めています。
2026年度予算案は、“数の力”で’2000年以降最短の審議時間で衆議院を通過させました。予算案には2025年石破茂政権下で紛糾し凍結された「高額療養費制度の見直し」も盛り込まれ、25万筆以上の反対署名なども無視して早々に成立させてしまったのです。
いっぽう、食品消費税ゼロには賛成する野党も多く、国会で審議されたらすぐに成立すると思われていました。ですがなぜか「社会保障国民会議(以下、国民会議)」という会議体で論議しています。
■国民会議は議論を先に延ばすための時間稼ぎでは
そもそも国民会議には、3つの問題点が指摘されています。
第一に参加政党が限定的なこと。政府は消費税が社会保障の重要な財源と認識し、給付付き税額控除に賛同する政党にだけ参加を呼びかけ、消費税自体の廃止を求める共産党やれいわ新選組、参政党を最初から除外。これで多様な意見を集約できるのか疑問です。
また、食料品消費税の恒久的ゼロを掲げていても日本保守党は参加していて、高市首相の“お気に入り会”かと疑いたくなります。
第二は議事録が一部公開されない点です。国民の目が届かず“開かれた会議”といえないでしょう。
第三は国民会議に法的拘束力がないことです。仮に国民会議で結論が出ても、国会審議を経ないと立法化はできません。しかも、制度設計に2年はかかるとされる給付付き税額控除を同時に検討しています。消費税議論を先に延ばすための時間稼ぎなのでしょうか。
いずれにせよレジなどのシステム改修に1年はかかるようですから、食品消費税ゼロの実現は早くて2027年夏でしょう。
さらに、財源も問題です。原油高が続くなか、日本は補助金でガソリン価格を抑えていますが、補助金の予算が6月にも枯渇するといわれています。予算の増額が必要でしょう。加えて猛暑が予想される今夏には、電気・ガスの補助金が必須で、これにも予算が必要です。果たして消費税減税に必要な財源が残っているのでしょうか。
ただ、食品消費税ゼロは選挙公約ですからほごにはしないと私は思います。問題は実施の時期ですが、選挙強者の高市首相は2028年夏の参議院議員選挙を見据え、2028年春の実施を想定しているのでは。もしそうなったら、食品消費税ゼロは高市首相の“悲願”ではなく“選挙の武器”だということ。
今後、物価高が加速する可能性があります。わが家の家計は自分で守るしかありません。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数
