習いたい! ゴージャスマダムの美肌作り
美の秘密を教えてくれる香港マダムの2人目は、イマジネーション溢れるゴージャスな作品と美貌で知られるジュエリーデザイナー、カレン・リーさん。香港の女性誌に頻繁に登場するほか、テレビのアート番組でリポーターを務めたり、新聞にエッセイを連載したり、マルチな活躍ぶりで、今、香港女性が最も憧れる香港マダムの頂点と言える存在です。
今回は、カレンさん本人にじっくりお話をうかがえることになりました!
カレン・リーさん(年齢は30代半ば) 香港生まれ。高校・大学をカナダで過ごし、卒業後、香港でIT関係の会社に勤務した後、イタリア・フィレンツェに留学し、ジュエリー・デザインの道へ。クリエイティブで華やかなデザインによって数々の国際的なジュエリーコンペティションで入賞し、香港だけでなく世界各地にファンを持つ。ポジティブな生き方と知的な美しさからエスティローダーのビューティー・アンバサダーにも選ばれている。
|
カレンさんのショールームがあるのは、高級オフィス街の脇にありながら庶民的な老舗レストランや乾物屋が並ぶ香港らしいエリアに建つ、クリエイティブ系のオフィスが集まったビルの17階。
Karen Jewel 住所:香港中環威霊頓街128号 17A 17A, 128 Wellington Street, Central. 電話番号:852-2151-9622 営業時間:休日不定期。事前予約が必須 HP:http://www.karenjewel.com/ |
ショールームに足を踏み入れて、色とりどりのカラーダイヤモンドや黒真珠などの貴重な素材をふんだんにあしらった贅沢なジュエリーにため息をついているところへ、
「ハーイ! 今日はよく来てくれたわね」
と出迎えてくれたカレンさん・・・・・・。え? カレンさん?
そこにはメディアで見たクールビューティーとはまた違う魅力の、30代半ばとは思えないナチュラルで、どこか少女のようなカレンさんが立っていました。
「メディアに出ている時と違う? そうね。自分でも驚くくらい、メイクや服装で雰囲気が変わるんですよ。普段は化粧もほとんどしていなくて、今日はこれでもいつもより頑張っているほうなの(笑)」。
さっそく、香港マダムの若さと美を保つ秘密を、毎日の食生活からスキンケアまで、じっくりと聞いてみましょう。
朝はビタミンCをたっぷり! 季節や時間で食べ物を調節
香港マダムのいちばんの楽しみ――それは食べること、というのは私たちと同じ! しかしその食生活をうかがうと、やはり美と健康に徹底して気を配っています。
○“おめざ”は蜂蜜水、パパイヤとオレンジ
「毎朝起きて最初に口にするのは、蜂蜜水とパパイヤやオレンジなどの果物。蜂蜜は熱いお湯だと栄養分が壊れるから、かならずぬるま湯に入れるようにしています」。
○卵料理と炭水化物、夏にはヨーグルトの朝食
朝が苦手というカレンさんは、こうしてたっぷりのビタミンCで目を覚まします。その後に、オムレツやスクランブルエッグなどの卵料理と、パンやケーキなどの炭水化物で、ボリュームのある朝食をゆっくりいただき、一日頑張るパワーを身につけます。
「夏ならヨーグルトをこれに加えるの。でも、冬は体を冷やすからヨーグルトは食べません」。
また、行きつけの漢方医からのアドバイスとして、
「蜂蜜、果物、ゼリーなどは、夜食べると体が冷えるから、日中しか食べないものなの」。
これは目からウロコですね!
そして、ほとんどの香港人女性と同じく「体が冷えるから冷たい飲み物は厳禁」とカレンさんはキッパリ。食べ物や飲み物が体を冷やす温める、季節や時間帯によって食べ方を調節する、という感覚を非常に大切にしていることが、カレンさんの言葉の隅々から伝わってきます。
香港のレストランで、水ではなくてお湯を出されてびっくりしてしまう私たち日本人にとっては、正直なところ分かりづらいこの感覚。これこそ、香港マダムの美肌に近づく最初の一歩なのかもしれません。今日から、まず冷たい水を飲むのを止めてみませんか?
仕事時間が正午~午後9時と遅めのカレンさんにとっては、午前中は好きに使える自由時間。趣味やエクササイズにじっくりと取り組みます。そして12時に出勤後、昼食はショールーム近くで麺やご飯物を満腹になるまで食べて、仕事に没頭。夕食は10時近くと遅くなりがちなので、野菜料理と魚、美肌に効く漢方スープなどで軽くすますのだそう。とてもシンプルでバランスのとれた食生活!
仕事中の手軽なおやつやドリンクで、きれいになれる
その他に、美と健康を意識してカレンさんがよく口にする食べ物はどんなものでしょうか。
○紅ナツメ水
「仕事中にも食事中にも頻繁に飲むのが、血液の質を高める紅ナツメ水。温かいお湯に乾燥した紅ナツメを入れるだけですからとても簡単で、女性の血液の質を高めてくれます。それから目を酷使する仕事だから目にいい菊茶や、たんぱく質たっぷりで肌にいい杏仁茶も、時々飲むようにしています」。ナツメを使う時には、種を必ず取り除いてから、と付け加えたカレンさん。体を温めてくれるナツメですが、種に限っては体を火照らせ過ぎるとか。種なしタイプを購入しておくと便利ですね。
そして、お母様が途切れることなく差し入れてくれて常備している「阿[月交]水晶棗」(あがーうそいぜんじょう)という紅ナツメの茶菓子を、仕事中にもちょこちょこと食べているそうです。
「阿[月交]水晶棗」
ちなみに「阿[月交]」とは、ロバの皮を煮詰めたゼラチンから作った貴重な漢方薬で、これとナツメのダブル効果で、貧血気味など血液を改善したい女性にぴったりだとか。
○蜜ナツメ、黒胡麻のパウダー
また、夕食は自炊がほとんどというカレンさん。「紅ナツメとは異なる種類のナツメで、スープの甘みづけなどに利用できる蜜ナツメと、髪にいい黒胡麻のパウダーを常備して、いろいろな料理にどんどん加えるようにしています」。そういえばカレンさん、30代半ばでもまったく白髪がなく、髪を染めてもいないそう。そんな艶やかな黒髪の秘密は黒胡麻にあるのかも。
○清保茶
日本以上に酷暑が続く香港でお勧めなのが、
「体の火照りをおさえて体調を整えてくれる清保茶。香港では『体内の湿気を取り除く』効用があると言うのよ。漢方薬局ならどこでも売っているはず。暑い日はこれに豚肉と塩を入れて煮込んでスープにしたり、お湯と氷砂糖を入れてデザートスープにしたりするの。デザートにした時には、スプーンですくって具を食べると美味しいから、ぜひ試してみて!」
カレンさんのお話を聞いているうちに気がついたのは、とにかく手間暇をかけずに、手頃で手軽で健康的な食材を、堅実に食生活に取り入れていること。セレブな香港マダムと言っても、ツバメの巣やフカヒレばかり食べているわけではありません。
スキンケアも、おウチ派で手軽主義
食べ物で内側からきれいにするのが基本とはいえ、カレンさんの白磁器のような透明感のある美肌を見ると、やはり外側からも何かしているのでは、と気になります。それにやっぱり香港マダムと言えば、ゴージャスなスパやエステに定期的に通っているのでは?
「赤の他人に触れられるのが嫌いだから、スパもエステもまったく行かないんです」。
あらら、こちらの予想はカレンさんの言葉で、あっさりと崩れてしまいました。
○「片糖」というブラウンシュガーをお風呂に入れる
「私のボディケアの基本は毎晩の入浴と、その後のセルフマッサージ。乾燥が気になる季節には、『片糖』(ぴんとん)という板状のブラウンシュガーを1枚まるごとお風呂に入れます。これでドライスキンが潤ってつるつるになるの」。
お風呂の後には、ローズオイルを使ったボディマッサージと、カレンさん担当のメークアップアーティストの方に習ったというフェイスマッサージを欠かさないカレンさん。
「これも簡単で時間もかからないから、毎日できるでしょ。すぐに肌がイキイキしてきて、リフトアップ効果もあるみたい」。
さっそくカレンさんのフェイスマッサージを教えてもらいましょう!
○カレンさんのフェイシャルマッサージ
【基本の動き:上まぶた】左右同時に行ってください。
1. 人差し指を折り曲げた第二関節を用います。鼻の付け根と眉毛の根元の交わる点に指を置きます。
2. そこから大きく弧を描きながら
3. こめかみへ。
4. こめかみからほお骨を避けるように耳のすぐ手前に回したら
5. そのまま輪郭の外周に沿って顎の下へ。
【鼻筋】
6. 次は鼻の脇の中間地点に指を置き、そこから鼻筋を通って引き上げます。②と③の要領で顎の下へ。
【下まぶた】
7. 今度は目元に指を置き、目尻に向かって弧を描き、こめかみへたどり着いたら、③の要領で顎の下へ。
【頬】
8. 小鼻の脇に指を置き、ほお骨の下で弧を描き、耳の手前に。そのまま輪郭の外周に沿って顎の下へ。
【顎】
9. 下唇の下の顎骨に指を置き(0222)、耳の下まで弧を描く。そのまま輪郭の外周に沿って顎の下へ。
普段のスキンケアは気候と肌質で調整
「香港では必ず冷たい水で顔を洗うんですよ。その後のスキンケアに使うお気に入りブランドは、まずハンドクリームならエスティローダー。手を使う仕事だからいろいろ使ってみて、いちばん気に入ったこれを愛用しています。顔に関しては、基本的に肌が疲れていたり空気が乾燥したりする日は、しっとりするメナード(⑤⑥⑦)を使って潤いを与えて肌を休ませて、肌が絶好調で天気も爽やかな日には軽くてさっぱりしたMioggi(②③④)、どちらでもなく中間という日はジュリーク(①)」。
なるほど、その日の体調や気候、肌の調子でブランドを使い分けるのがカレンさんのフェイシャルケアなんですね。
ところで香港伝統の知恵をいろいろ駆使するカレンさんのこと、ご先祖伝来のフェイシャルの技を知っているのでは?
「うーん、80歳過ぎても肌がつるつるのおばあちゃんに、卵白+レモン汁+蜂蜜でパックするという秘伝を聞いて一度試してみたのだけど、顔がたちまちバリバリになって怖くなったから止めてしまいました(笑)」。
ということで、外からのスキンケアはすべて西洋式で行っているそうです。
①ジュリークのモイスチャーリプレニッシングマスク。お風呂の後のパックタイムに。
Mioggiは韓国のブランド。肌の水分補給を目的にしたHexAqua Plus+(②)、肌の再生サイクルを整えるMagic Advanced(③)と、ホワイトニング用のHex Magic(④)の3シリーズを組み合わせて使用します。
長旅の後や激務で肌も疲れている時には、霊芝エキスとビフィズス菌発酵代謝液を配合したメナードのエンベリアシリーズが強い味方。寝ている間に肌のハリを取り戻すナイトクリーム(⑤)、肌にうるおいをあたえる美容液のエクストラクト(⑥)、クレンジングクリームとしても使えるリフレッシュマッサージ(⑦)を組み合わせて、肌の元気を取り戻します。
手作業も多い仕事でも、ゴージャスな指輪が似合う手を保つために。エスティローダーのリニュートリィブ インテンシィブハンドクリーム(⑧)は毎日こまめに使っているそう。
美しさはハートとブレインから
カレンさんに女性の美しさはどこから来ると思いますか? と尋ねると、迷わず「ハートとブレインから!」という答えが返ってきました。
それはハートの優しさと共に、新しいことを学び続ける好奇心が美しさにつながるというカレンさんの考えを示しています。
超一流のジュエリーデザイナーであるカレンさんですが、今は日本画に夢中。年に1回、1カ月ほど京都に滞在してみっちり学んできて、香港で描き続けているそうです。
他にも日本に行く度に、着付け、生け花、フラワーアレンジメント、カラーコーディネートなどを学び、香港では陶芸、ハープ、ピアノ、テニスなどを習っています。
「例えばカラーコーディネートを習った後は、クライアントの顔を美しく見せる宝石の選び方や勧め方が上手くなりました。私が新しいことを習ってくるたびに、それがジュエリー・デザインに生かされるのが分かると言って、常連のクライアントは『今度は何習ったの?何、何?』って興味津々に聞いてくるのよ」。
何でもすぐに趣味の域をすぐに超えてしまうカレンさん。
「必ずものすごく厳しい先生に習うことにしています。だって厳しい先生から200%教えてもらえれば、後で忘れてきてしまっても80%は残るでしょ」。
そんなポジティブな心が、カレンさんの目の奥底から放たれる輝きに現れて、美人度をさらにアップしています。食生活、スキンケア、新しいことに挑戦する姿勢。できるところから少しずつでもとりいれて、私たちも香港マダムの美しさに一歩近づいてみましょう!
今日着ているドレスは、日本を訪ねた時に、カレンさんがデザインしたイヤリングに触発されて京都の友禅絵付師の方がデザインしてプレゼントしてくれたという特別な一品。そのイヤリング「Listen」(HK$280,000)は、ピンク、イエロー、ホワイトのダイヤモンドを、18Kホワイトゴールドにセットした優雅な品。 |
タヒチ産真珠とブルーダイヤモンドに、18Kホワイトゴールドの羽をあしらった「Fly with Love」は2005年タヒチ真珠国際デザインコンペティションでの大賞作品。「心を開けば、愛があなたの指に舞い降りて、そのままそこにとどまってくれるもの」がコンセプトです。価格は交渉によって決定。 |
南洋真珠とイエローダイヤモンドの妖精が、ロジウムメッキを施した18Kホワイトゴールドの冬の森に舞う「Fairies in Jack Frost」(HK$800,000)。妖精が主人公の小説を読んでいてイメージが湧き、すぐにデザインにとりかかったそうです。 |
指輪と同じ「Fly with Love」のブローチ。「情熱は安らぎに溶け、あなたをきつく抱きしめ、深い愛情とともに空想をめぐらせ、あなたを陶酔の彼方に送り出す」―そんな詩のような一文が、このデザインのコンセプトになっています。価格は交渉によって決定。 |
とっておき!カレンさんのお勧めレストラン
日頃は自炊が多いというカレンさん。外食する時は楽しく、美味しく。お気に入りの4軒を教えてもらいました。
Cinecitta
イタリアでジュエリー・デザインを学んだカレンさんが、香港で本格的なイタリアンパスタを食べたい時に訪ねる一軒。
住所:香港湾仔星街9号
9 Star Street, Wanchai, Hong Kong
電話番号:852-2529-0199 FAX:852-2529-5399
営業時間:ランチ月~金12:00~15:00、ディナー月~日18:00~24:00
定休日:なし
尚興潮州飯店 Shung Hing Chiu Chow Restaurant
カレンさんのショールームから近い地元で大人気の庶民的な潮州料理レストラン。「潮州料理は、シンプルな味付けでヘルシー。ここの[立倉]魚粥(ちょんゆーじょっつ)と揚げ豆腐が私の大好物。夜遅くまで開いているのも助かります」。
住所:香港皇后大通西37号
37 Queen’s Road West, Hong Kong
電話番号:852-2543-7794
営業時間:11:00~14:30、18:00~23:30
定休日:なし
香港老上海飯店 Hong Kong Lao Shang Hai Restaurant
「上海料理の老舗。上海料理自体はちょっとこってりしているけど、ここの野菜包(5個でHK$68)はヘルシーで絶品」。
住所:香港湾仔謝斐道238号世紀酒店地庫一字
1st Basement, Novotel Century Hotel, 238 Jaffe Road, Wan Chai, Hong Kong
電話番号:852-2827-9339 FAX:852-2827-9369
定休日:なし
Dot Cod
香港クリケットクラブが経営する人気シーフードレストランは開店10周年。「とにかく美味しい魚を食べたい時にはここへ」とカレンさん。WWFと協力して、環境に優しい漁業を進めている地域の魚のみを使用しています。
住所:香港中環遮打道10号太子大廈地庫4楼
B4, Basement, Prince’s Building, 10 Chater Road, Central, Hong Kong
電話番号:852-2810-6988 Fax:852-2810-6877
営業時間:月~土7:30~11:30pm
定休日:日曜
撮影/久米美由紀
文/甲斐美也子