夏本番、日差しによるダメージから肌を守るための対策は必須。シミやシワの予防のほか、小顔になるためのケアを意識する人も多い。
「どのような美容習慣を心がけているのか、クリニックを訪れる方に問診すると、美肌のためにと思っていた行為が、じつは肌を痛めつけていたというケースが本当に多いのです。きちんと洗顔して、保湿をする。外に出るときにはUVケアをすることが美肌キープの基本なのですが、マッサージやパックなどをやりすぎてしまったために、かえって肌への負担を作り出している傾向にあります」
そう語るのは、新著『女医が教える、やってはいけない美容法33』が話題になっている、銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長。肌の老化の原因の8割は紫外線によるもの。朝、お手入れの際には洗顔、保湿、日焼け止めをしっかり塗って正しいケアを行えば美肌をキープできるそう。ところが、美に対する意識が高いゆえ、やりすぎてしまい肌にダメージを与えてしまってクリニックを訪れる人が後を絶たないそうだ。
そこで今回、慶田院長に皮膚科専門医の観点から、この時季に気をつけたい“やってはいけない”美容習慣を教えてもらった。
■「過度なクレンジングマッサージ」できめ崩壊
まずはメーク落としの際のクレンジングマッサージ。汗をたくさんかく季節にはベタつく顔をスッキリさせるため、マッサージしながら毛穴の汚れを取ろうと念入りにクレンジングしたくなる。だが、メークを落とすのに欠かせないクレンジングは、時間をかけすぎるとクレンジング剤に含まれる界面活性剤が肌の潤いを奪ってしまい、乾燥肌や肌あれの原因に。肌にのせてから1分以内にすすごう。
「マッサージはむくみを取る効果はありますが、リフトアップまでは望めませんし、乾燥を悪化させます。マッサージをするなら、洗顔後に乳液をつけてゆっくり行うほうがいいでしょう」(慶田院長・以下同)
■「大量シートマスク」で肌荒れ
シートマスクには、保湿成分などのほかに防腐剤が含まれている。長時間貼ると肌に刺激を与え、バリア機能を壊す可能性が。使用時間は10分以内として、個別包装のものを週1~2回程度使うのならOK。
「洗顔後にシートマスクを顔に長時間貼るケアがブームになっていますが、大容量タイプのシートの使いすぎはNGです。これは細菌がついた素手で取り出すことを想定しているため、個別に包装されたものよりも強い防腐剤が含まれていることがあり、トラブルのもとになりかねません」
■「油抜きダイエット」でシワシワ肌
美肌のためには、十分な栄養も不可欠。しかし、薄着の季節に急いでダイエットをしようと、脂肪分や油分をカットしすぎる人もいる。油脂を取らない食生活を続けていくと、肌のバリア機能が低下して、乾燥してちりめんジワができてしまう。食事制限をしてもいいが、オリーブオイルや「オメガ3系脂肪酸」を含む亜麻仁油やえごま油を取ろう。
「コレステロール等の油脂は、肌の潤いのもとである細胞間脂質を作る大切な材料。無理に油を抜くダイエットで肌はシワシワになってしまうので、食事制限はしても、過度な栄養素は確保しましょう」
欠かさず行っている美容習慣を、一度見直してみよう!
けいだ・ともこ/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。医学博士。東京女子医科大学医学部医学科卒業。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館:1,404円・税込み)『365日のスキンケア』(池田書店:1,242円・税込み)など。