「だけど最近はひとりのお客さんが増えたね。うちも昔はテーブル席だけだったんだけど、カウンターを作りましたよ。ひとりの時の相席って、こっちは気まずいじゃない? 特にカップルの前とかさ(笑)」

 カウンターぶんのスペースで、店の中に並べるようになった現在、以前のように店の外に行列ができることはなくなった。
 「これは良くなかったかも(笑)。行列ができてると、その後ろにまた並びたくなるんだよね。それに、お隣の洋服屋さんの迷惑じゃなくなって良かったと思ってたんだけど、聞いてみたら『並んでる間に買ってくれる人がいたから、よかったのに』って(笑)」

 味だけでなく接客についても正和さん、いろいろと考えている。 「舌だけじゃなくて、接客を見る目も肥えてますからね、今のお客さんは」

 ここ数年の「八王子ラーメン」のブームで、八王子を訪れるラーメンファンも増えた昨今。刻みタマネギの乗った、脂・コク強めのしょうゆ味が八王子ラーメン。正和さんはどう考えているのだろう?

 「僕が10代の頃からありましたよ。長沼の『ホームラン軒』で最初に食べた記憶がありますね。タマネギ、乗ってたね」

 八王子長沼の『ホームラン軒』といえば、東京ラーメンの元祖と呼ばれる“難波ホームラン軒”の親族が続けているお店。八王子ラーメンの源流が、東京ラーメンの源流とつながっていたとは… 「うちも実は一度やったことがあるんですよ。長ネギが高騰した時、タマネギ刻んで乗せてみた。でもお客さんからネギの方がおいしいって言われて、すぐ戻しましたね」

 変わらないために、変え続ける味。ブームに流されない「竹の家」のこだわりは続く。

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