料理の一般常識のひとつに「野菜はゆでてから冷凍する」というのがある。これに疑問を感じ、自らその常識を打破したのが料理研究家の島本美由紀さんだ。
「5年ほど前から野菜をそのまま冷凍することにチャレンジし始めました。その結果、失敗もありましたが、ほとんどの野菜が生のまま冷凍保存できることがわかりました。保存期間が延びる以外に、さまざまなメリットも発見したんです」
このチャレンジの成果をまとめた最新刊『生のままベジ冷凍』(小学館)が今話題だ。野菜は生のまま冷凍しても十分においしく食べられるうえ、1カ月間も保存可能になるという。
しかし、ルールを破ると一気に味が落ちてしまうので、冷凍保存のテクニックをしっかり守ることが大事になってくる。そこで、島本さんが「生ベジ冷凍」の基本テク10を教えてくれた。
【1】冷凍前にしっかり水分を拭き取る
水洗いしたあと、水けをキッチンペーパーなどでしっかり拭き取ること。水分は霜の原因になり、調理時の油はねの原因にもなる。
【2】袋の空気をよく抜く
冷凍用の保存袋に入れる際、余分な空気が入っていると、急速冷凍の妨げに。袋の中の空気を押し出すようにして口を閉じること。
【3】急速冷凍できる金属製バットをつかう
野菜の味を損なわずに冷凍するのに欠かせないのが熱伝導率の高い金属製のバット。これに野菜をのせて冷凍庫に入れ、凍ったら専用のカゴに移そう。
【4】Wクリップに日付を書く
事務用Wクリップを用意して冷凍した日付をシールなどに書いて貼り、保存袋に留めておく。賞味期限の確認に便利。
【5】ブックエンドで冷凍庫を仕切る
大量の冷凍野菜をストックするとき、ブックエンドを使って保存袋を立てるように入れる。保存スペースを確保しやすく、出し入れもスムーズ。
【6】カゴで生ベジ専用スペースを作る
ブックエンドのほか、100円ショップなどで買えるカゴで生ベジ専用スペースを確保しておくと冷凍室が整理できる。タテに収納しておくと中身を把握しやすい。
【7】買ってきたらすぐに冷凍する
しなびた野菜を冷凍してもおいしくない。生ベジ冷凍でもっとも大切なのは、鮮度を保つこと。買ってきたらすぐに冷凍するのが大事。
【8】冷凍用保存袋に“薄く・平たく”入れる
中の空気が抜けるのと同時に、冷凍室の中で袋を立てて保存することができる。
【9】ラップ+保存袋でダブル密封
一度に少量しか使わない野菜はラップで小分けにしてから、さらに保存袋へ入れよう。冷凍焼けや味の劣化を防げる。
【10】すぐ使わないものは密封容器へ
家庭用の冷蔵室は開け閉めで温度管理が不十分になりがち。保存袋をさらに密封容器に入れると温度が安定し、味の劣化を防げる。
「最近は異常気象などで急に野菜の価格が高騰することが多いですよね。安売りしているときにたくさん買っても使いきるのが大変ですが、冷凍にすれば1カ月もちます。夏野菜はまとめ売りされていることが多いので、生ベジ冷凍が特に有効。買ってきてすぐに冷凍してしまえば経済的ですし、下ゆでもないので時間もかかりません」(島本さん)