3~5月に旬を迎える新玉ねぎは、甘く、みずみずしく、おいしいうえに、健康効果は無限大!
「玉ねぎの健康機能性は非常に高いんです。新玉ねぎは、普通の玉ねぎよりみずみずしく辛味が少ないという特徴がありますが、栄養成分は同じ。特に注目すべき成分は『ケルセチン』、そして一般的には硫化アリルと呼ばれる『含硫化合物』で、どちらにも素晴らしい健康効果があります」
こう力説するのは、日夜玉ねぎの研究に励む博士(農学)の岡本大作さん。新玉ねぎの健康効果を詳しく聞いた。
「ケルセチンはポリフェノールの一種の黄色い色素で、一般的に食べられる野菜のなかでは玉ねぎにもっとも多く含まれています。体脂肪を減らす効果がある食品にも与えられる『特別保健用食品(トクホ)』の成分でもあります。つまり、ダイエット効果が期待できるんです」
ケルセチンがいちばん豊富なのは普通の黄玉ねぎの外皮だというが、さすがにそのままでは食べにくい。新玉ねぎの可食部でも十分摂取できるので、無理せず玉を食べればいい。このケルセチンに、ほとんどの生活習慣病の予防、改善効果があるという。
「ケルセチンが強い抗酸化性を有することは、さまざまな研究によってすでに証明されています。まず、がん予防。動脈硬化、糖尿病などの予防にも効果があります。アレルギーの抑制もしてくれますし、紫外線から肌を守る効果も報告されています。最新の研究では、早期のアルツハイマー病の改善にも効果的といわれているんです。スゴイでしょ」
そしてもう1つの優秀成分が、昔から“血液サラサラ効果”で有名な含硫化合物だ。
「含硫化合物は、ネギ類に特有の香りのモト。玉ねぎをはじめ、にんにく、にら、らっきょうなどのネギ属に多く含まれている物質です」
玉ねぎには、含硫アミノ酸という、硫黄を有する形で含まれているという。
「血液の流れをよくする働きが有名で、血栓や動脈硬化の予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防など、血液や血管に関わる多くの生活習慣病を予防してくれます。さらに、気持ちを落ち着ける鎮静作用や、ビタミンB1と結合して疲労を回復させる作用もあります」
血糖値降下、そしてコレステロール降下作用もあるので、肥満や糖尿病の予防にもなる。
そんな新玉ねぎのパワーをあますところなく食べる方法を紹介。
■おいしい新玉ねぎの見分け方
鮮度が命の新玉ねぎは、大きく重たいものがジューシーでおいしい。皮が首まで乾燥しているもの、首が締まって細いものを選ぼう。芽が出ているもの、軟らかいものは鮮度が落ちている。
■できるだけ早く食べよう!
一般的な黄玉ねぎと比べて水分が多く、そのままだと日持ちがしない。袋や箱から出し、風通しのよいところで保管を。使いかけを保存するときは、ラップをしてから冷蔵庫へ。
■水にさらすと栄養ダダ漏れ!
健康効果抜群のケルセチン、そして含硫化合物(硫化アリル)は、ともに水溶性。水に流れ出てしまうので、さらすのはNG! 新玉ねぎは辛味が少ないのでそのまま食べられるが、どうしても気になる場合は切ったあとにそのまましばらく置いておこう。空気に触れさせるだけでもマイルドになる。
■効率のいい食べ方は?
新玉ねぎの栄養を最大限に取り入れる食べ方を、岡本さんに聞いてみた。
「水分が多く辛味が少ないので、生食または、軽い加熱調理に向いています。ケルセチンは油と一緒に軽くソテーしたり、サラダにしてドレッシングやマヨネーズをかけるといいですね。普通の玉ねぎより少し厚め、大きめに切ることで食感を楽しめますよ」(岡本さん)
また、新玉ねぎは長時間の加熱はNGだそう。くれぐれも煮込みすぎにはご注意を。