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納豆、やまいも、なめこ……。日本の食卓に欠かせない「ねばねば食材」。ひと言で「ねばねば」といっても、納豆のように白っぽく、強い粘り気をもつ「ねばねば」もあれば、オクラやモロヘイヤなどの透明な「ねばねば」、さらに、なめこなどに見られる、ぬめりが強く細い糸を引くような「ねばねば」など種類もさまざまだ。

 

その理由は、ねばねばのもととなる成分が決して1つに限らないため。管理栄養士の菊池真由子さんは次のように話す。

 

「ねばねばの成分は大きく分けると、水溶性食物繊維、ムチン、コンドロイチンの3種類です。それぞれに特徴があるので、気になる症状に合わせて上手に取り入れていきたいですね」(菊池さん・以下同)

 

【水溶性食物繊維】スムーズな排便を促し、デトックス効果に期待大!

 

ねばねば食材としては、昆布やワカメ、メカブなどの海藻類に多く含まれる。腸内環境を整えるだけでなく、高血糖や高血圧、高脂血症の予防にも効果がある、いわば“デトックス”系のねばねば。満腹感を得やすいうえ、ほぼゼロカロリーなのでたくさん食べても太りにくく、ダイエットも後押ししてくれる。

 

【ムチン】粘膜保護と細胞の活性化で、活力UPの効果あり!

 

やまいもや里芋、オクラ、なめこなどに含まれるねばねば(ぬるぬる)成分。タンパク質分解酵素が豊富で、肉や魚の吸収を助ける。「ねばねば=スタミナ食」のイメージは、やまいも(長芋)のとろろや、食欲のない夏に旬を迎えるオクラの存在が影響しているもよう。じつは便秘改善の効果もあるというスグレモノ!

 

【コンドロイチン】保水力と代謝の向上で、お肌のトラブルも解消!

 

「肌や髪から瞳にいたるまで、全身のみずみずしさに関わる、まさに女性の“若さの源泉”。オクラやモロヘイヤ、やまいも、なめこ、海藻といった身近な食材のほか、フカヒレやスッポン、ツバメの巣などの高級食材にも含まれる。血中コレステロールや過酸化脂質を除去し、動脈硬化や高血圧を予防する効果も期待できるという。

 

さまざまな健康効果のみならず、女性にとってうれしい美容効果まで期待できる「ねばねば」だが、じつは日本は世界でも珍しい「ねばねば愛好国」。納豆はもちろんのこと、島国ということもあり、水溶性食物繊維が豊富な海藻類の摂取量が世界のなかでも多いといわれている。

 

「欧米人は、同じく海藻類に含まれているヨウ素が不足しがちなのに対し、日本人の摂取量は十分すぎるといわれているほど。また、ムチンは、やまいもやなめこなど日本人にはおなじみの食材に含まれていますから、私たちは伝統的にねばねば食材を食べてきたと考えられるでしょう。とはいえ、ねばねば食材のパワーをさらに引き出すためには、ちょっとしたコツがあります。食の欧米化が進んでいる今だからこそ、より効率的に摂取したいですね」

 

そのためのポイントを菊池さんが解説してくれた。

 

■とにかくよくかんで食べるべし

 

ねばねば、ぬるぬるしているので、ついつい飲み込むように食べてしまいがちな「ねばねば食材」。だが、よくかんで食べることが健康アップにつながるのだ!

 

「たとえばメカブや昆布など、海藻類は細かく刻むことでねばねばが出やすくなるため、しっかりかんで食べることが大切です。昆布などはだしをとるために使うこともありますが、水溶性食物繊維を摂取するためには『個体』で食べることが重要。煮物やお味噌汁などで昆布だしをとったときは、だしがらも刻んでいっしょに食べましょう。また、ねばねば成分は、食物繊維全般がそうであるように、基本的に消化はあまりよくありません。よくかんで食べることは、消化不良の予防にもつながります」

 

咀嚼回数が増えれば満腹中枢も刺激されダイエット効果もアップするほか、副次効果ではあるものの、脳トレにもなり、認知症の予防にも。つるっと飲み込んでしまわないように、気をつけよう。

 

■食べる量よりも頻度が重要

 

さまざまな健康効果があるねばねば食材だが、一度の食事で人間が吸収できる量には限界がある。

 

「気になる症状を改善するためには、一度にたくさん食べるより、継続して摂取したほうが効果的です。毎日は難しくても、週に2~3回は食べるようにしましょう」

 

ねばねば食材の健康効果を得るためには、粘り強く食べること!

 

■ほかの栄養素との組み合わせにも注目

 

ねばねば食材には複数のねばねば成分が含まれていることも少なくないが、それ以外の栄養素にも注目したい。

 

「海藻類なら新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンのもととなるヨウ素、やまいもや里芋なら体内の水分量を調整するカリウム、オクラやモロヘイヤならβ-カロテンなど、ねばねば食材には、ねばねば成分以外にもさまざまな栄養素が含まれています。また、ねばねば成分であるムチンは、肉や魚などのタンパク質といっしょに食べるとスタミナ補給になるなど、ほかの食品に含まれる栄養素との組み合わせ方によっても、健康効果がアップ」

 

身近な食材に含まれる“ねばねば”成分を上手に取り入れよう!

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