シェアダインの井出さん(左)飯田さん(右) 画像を見る

家庭の主婦(夫)なら、誰しも料理を手伝ってくれる人がいるとどれだけ有難いか、痛切に感じるだろう。「そんなサービスがあれば……」を実現したのが出張シェフサービスを提供する「シェアダイン」だ。

 

共同代表者の井出有希さんと飯田陽狩さんは、幼い子どもを持つ働くママだ。もともと会社の同僚だった2人が起業することになったきっかけは、結婚、出産、子育ての経験だった。

 

「産休後5ヶ月で職場復帰したとき、体調を崩して寝込んだことがあったんです。その時に頼んだ家事代行サービスで来てくださった方が、赤ちゃんやママの世話をする産後ドゥーラ(産前産後の母親をサポートする専門家)資格保有者の方でした。子どもの世話をしてくれるだけでもすごく助かったのに、家にあるありあわせの材料で私の食事まで作ってくれたのです。心身共にギリギリだった私にとって、誰かがお料理をしてくれたことに心から感激しました」(飯田さん)

 

同じころ、井出さんのほうも幼い長男の好き嫌いにてこずっていた。

 

「食べてくれるものが限られていたので、レパートリーも3つくらいしかなくて……。お互い、子どもの食事に悩んでいたので、飯田さんの話を聞いて、『そういう人材を気軽に活用できるサービスがあるといいね』と話していたんです」(井出さん)

 

そのうち本気でこのサービスの立ち上げを考えるようになり、実際に料理人に自宅に来てもらい料理を作ってもらった。すると、それまで野菜を一切食べようとしなかった長男が、自ら野菜料理に箸をのばし、ペロリと完食したのだ。

 

「驚きました。インゲンを素揚げしたものだったのですが、そのシェフから野菜の切り方や調理の仕方で、苦味を消せたり、食べやすい食感にできることを教えていただきました。ちょっとした知恵を得ることで、長男の食に対する興味が旺盛になったのです。私の料理への興味も広がりました」(井出さん)

 

実体験から重要性をおおいに感じた2人は、2017年、「シェアダイン」を立ち上げた。お客さんの自宅にシェフが訪れ、台所にある食材を使って、3時間という制限時間の中で10~12品(目安)を作ってくれる。4人家族で3~5日程度食べられる量だ。

 

「これまで約900人のシェフが登録してくれていますが、今年は新型コロナウイルスの影響が外食産業に及んだため、登録が増えました。一流ホテルのシェフの方にもご登録いただいています」(飯田さん)

 

主婦の負担が軽減され、家族で料理を囲む楽しさが増すという、誰にとっても嬉しいサービスだ。

 

出張シェフサービス「シェアダイン」
https://sharedine.me

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