■およそ20年で「特別な食べ物」から大量消費に変化
貴重な天然資源かつ漁獲量も減少傾向にあるいっぽう、土用の丑の日には欠かせないうなぎ。そのため、ネット上ではしばしば“うなぎ論争”が巻き起こるようだ。果たして、消費者はどのように向き合っていけば良いのだろうか? そこで本誌は、フードジャーナリストの山路力也氏に話を聞いた(以下、カッコ内は山路氏)。
漁獲量が減少している主な原因として「乱獲」を指摘する山路氏は、「うなぎを獲りすぎたのであれば、人間が食べ過ぎないように心がけるべきでしょう」と語る。
山路氏の言う「食べ過ぎ」とは、「大量消費」を指す。水産庁によると、うなぎの供給量と輸入量がピークに達したのは’00年。同年の供給量は15万8,094トンだったが、以降は減少傾向をたどり昨年は6万2,926トンだった。
「もともとうなぎは日常の食べ物ではなく、特別な食べ物だったんです。『今日は家族でご馳走を食べに行こう』というような感じでした。しかし供給量と輸入量がピークとなった’00年ごろから、スーパーでも蒲焼きが並ぶようになりました。次第に牛丼チェーン店やファミリーレストランでも低価格で食べられるようになり、大量消費するようになったのです」
手が届きやすくなったいっぽうで、大量廃棄も問題視されている。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンによると、’17年に複数の国内大手スーパーで購入されずに廃棄されたうなぎ加工商品は計約2,730kgと報告されている。
「スーパーや牛丼チェーン店などの『良いものを安く提供したい』という企業努力や技術革新は認められるべきだと思います。しかしながら価格の安い中国産の方が売れてしまい、国産が売れ残ってしまう原因にもなっているようです。私が思うのは、『うなぎを大事に食べましょう』ということ。うなぎが消費者に届かず廃棄されるのであれば、スーパーなどで売る量を見直すべきではないでしょうか」