「仕事によって、なりやすい病気は違います。最近のメタボ検診のデータでわかったのですが、たとえば同じ年代でも銀行員とシステムエンジニア(SE)の人たちでは、健康状態に差が出ています。それは仕事自体が悪いのではなく、仕事によって陥りがちな生活パターンによるものなのです」

 

そう教えてくれたのは、『早死にする仕事、長生きする仕事』(マガジンハウス)の著者で、医学博士の古井祐司先生。古井先生は、20代で地域医療を目の当たりにした経験から予防医学に目覚め、現在は東京大学政策ビジョン研究センターで、健康づくりに取り組む企業や自治体を応援する仕組みの構築に取り組んでいる。

 

健康リスクの高い仕事には、大きく2つの要因があると古井先生。1つ目は、食事の取り方と内容。寝る直前に食事を取る生活をしている人は要注意。2つ目は、緊張が連続する状態。出向先などでリラックスできない環境で、長時間の緊張状態が続く仕事は危険だという。それでは、具体的にどんな仕事がどんな病気になりやすいのか。古井先生に教えてもらった。

 

【糖尿病】運転手、美容師

「運転や接客に追われていると、昼食を取り損ねることもしばしば。まとまった食事の時間が取れないため、空腹を満たすために甘い清涼飲料水を一日に何度も口にしてしまいます。血糖値が高いことにも気付かず、糖尿病予備軍となってしまうのです」

 

【心筋梗塞】販売員、営業、保険外交員

「顧客の都合で動くため、食事のタイミングも毎日バラバラ。パパッと食べて、すぐに仕事に戻るため、丼物や麺類、菓子パンなど高カロリーの炭水化物で食事をすませがち。さらに、空腹時間が長いうえ、深夜に夕食を取るため太りやすくなり、メタボの原因に。メタボが動脈硬化を促進させ、心臓にも負担がかかります」

 

【高血圧】SE、デイトレーダー、編集者、イラストレーター、アニメーター

「緊張状態が続くと、自律神経のなかでも交感神経が優位になり、血管が縮みやすく、血圧が上がりやすいのです。デスクワークで同じ姿勢のまま作業するため、血流が滞って肩こりが生じやすいのも血圧を上げる一因になります」

 

【脂肪肝→肝臓病】医療関係者、介護関係者、コンビニ店員など、24時間シフト制で働く人

「シフト制で働く人たちは、仕事を終えると次の日業務まで間があるため、仕事後の飲食の時間が長くなりやすい。ゆっくりお酒を飲んだり、業務を終えた解放感から大量に食べてしまったり。寝る直前に食事を取る人も多く、体に大きな負荷がかかります」

 

生活習慣を改善して、健康で長生きできる生活を!

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