これから春先に向け、子供の受験や新生活など大きな行事を抱える人も多いはず。そんな人たちを悩ませる大きな問題が「花粉症」。しかし今、花粉症の治療と予防はここまで進んでいた!
なんと、日本人の主食である「お米」を食べて花粉症を緩和する免疫治療が、実用間近だという。世界で初めて開発されたその米の正体は、遺伝子組み換え技術を利用して、スギ花粉のタンパク質の断片をコメの中に作り出したもの。その名も「花粉症緩和米」だ。
研究を進める東京慈恵医科大学の分子免疫学研究部長・斎藤三郎准教授に話を聞いた。
「花粉症緩和米を継続して食べることで、体を少しずつアレルゲンに慣れさせます。緩和米に含まれているのは花粉の断片で、アレルギー反応を起こす部分を取り除いてあります。ですから、1度に大量摂取しても安全」
最終的には、体が花粉を敵と判断しなくなり、アレルギー反応を起こさなくなるそう。斎藤先生のチームは、’13年12月〜’14年5月の花粉シーズン中、スギ花粉症患者30人を対象に、データを収集。その結果、緩和米を毎日食べた人は、食べ始めて8週間後には、花粉に対する免疫反応が抑制されていることを確認。アレルギー症状も抑えられる傾向にあった。
「コメならば、実用化したとき、一度に大量に生産・収穫できるので、薬より低コストですみます。何より、毎日の食事に取り入れて摂取しやすい。加熱調理しても効果に変わりはありません」
斎藤先生のチームは現在、より少ない量で効果が出るよう実験を重ねている。商品化までは、さまざまな検証が必要になるが、実現すれば、画期的な治療法になることは間違いない。
「緩和米は、毎年の花粉シーズン中に食べるだけでも効果はあると考えています。毎年、続けることで徐々に症状がやわらいでいき、ゆくゆくは根治も期待できるでしょう」
近い将来、花粉症はご飯で治す時代が来るかも!?