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《病名は、「子宮頸部高度異形成」というもので、今後、子宮頸がんに発展する可能性があるとのことでした。「しばらく経過観察をしてもよいでしょう」とお医者様から言われていましたが、息子のことを思うと、早期にできる限りの治療をしたいと思い、手術を実施することに決めました》

 

昨年暮れ、弁護士の大渕愛子さんがブログで「子宮頸部高度異形成」と診断を受け、病変の切除手術を受けることを明かした。この告白で「高度異形成」がにわかに注目を集めているが、「私も同じ診断をされているけれど、手術したほうがいい?」「そもそも異形成って?」といった疑問が本誌にも寄せられた。

 

そこで、高度異形成の術式でもある円錐切除術の日帰り手術数日本一で、ゴッドハンドとしても知られるウイメンズクリニック南麻布院長・清水敬生先生に原因と治療法などをうかがった。

 

「まず、高度異形成も含めて、異形成はがんではありません。以前は、高度異形成は上皮内がんと呼ばれていましたが、子宮頸がんと区別するため、名称が改められています」

 

そもそも子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染すると、細胞が“異形成”という異常細胞になり、増殖する。なかには進行してがんになるケースも。

 

「このウイルスは、性交渉の経験が一度でもあれば感染する可能性があります。年に1度は婦人科で細胞診とHPV感染の有無を調べる検査を受けたほうがいいでしょう」

 

というから、まずは定期的な検診を。子宮頸部の細胞診で、異型細胞やがん細胞になっていないかを調べることが大切なのだ。

 

「細胞診の結果で、異形成の判断だ出ることは少なくありません。異形成の判定が出たら高度、中度、軽度にかかわらず、何らかのHPVに感染しているということです」

 

上皮の細胞の3分の1以下なら軽度、3分の2まで増えると中度、表面まで占めると高度となるが、実はHPVにはがん化リスクの高いものから低いものまで、100種類以上の型があると清水先生は解説する。

 

「ハイリスク型以外はがんになる可能性は低いので、そう怖いものではありません」

 

要するに、最も知りたいことは、HPVに感染したとしてもそれががんになるか否かということ。

 

「異形成の要素として、HPVのその型が何番かということが重要なのです。高度異形成と診断されたら、ここをよく調べる必要があります」

 

悪性度の高い型として16、18はよく知られているが、31、33、35、39、45、51、52、58、59などもがん化の確率は高い。そしてあまり知られていない82も実は重要という。

 

清水先生は外来では年間250〜260の円錐切除術の症例があり、そのほぼすべてでHPV型を調べ、悪性度の高さを把握。その後のフォローアップをしていく。

 

「実際に測れる限りの型を調べることが大切なのです。しかし、現在の検査法ではこれが重要視されていない。大ざっぱに陰性か陽性かを調べるだけで済まされていたりするのが現状です」

 

現在、保険適用は13種類の型を調べる「シェアパス」で、多くの医療機関で採用されている。が、悪性度の高い型をすべてカバーしているわけではないと、清水先生は指摘する。清水先生のクリニックでは、ハイリスク型を中心に38種類の型を調べることが可能となっている。

 

「また細胞診の制度の正確さは、医療者の熟練度によってもバラつきがあります」

 

4割程度は間違った判断が出ていると考えられ、万全を期すなら、婦人科がんの専門医を訪ねたいところだ。

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