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「乳がん検診で行われているマンモグラフィーで見つかる腫瘍の99%は、放っておいても命にかかわるようなものではありません。さらに発がんリスクを高めるX線による被ばくを考えたら、マンモグラフィー検査を受ける必要はありません」

 

そう語るのは、『患者よ、がんと闘うな』などの著書がある「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」の近藤誠医師。「乳房温存療法」のパイオニアとして知られ、安易な手術や抗がん剤治療などに一石を投じてきた近藤医師の、その発言は衝撃的だ。

 

「昨年、乳がんを告白した元プロレスラーの北斗晶さん(48)が属する年齢層(45?49歳)を見ると、乳がんの発見数は、36年間で5倍も増えています。早期発見・早期治療が推奨され、とくに’00年以降はマンモグラフィー検査が広く行われたことが大きな要因です。ところが、その間の乳がんによる死亡数は減っていないのです」

 

そして、こう続ける。

 

「マンモグラフィーは欧米でも広く実施されていますが、有効性は疑問視されています。実際、’09年にはアメリカの予防医学特別作業部会が推奨をやめ、’14年にはスイスの医療政策を決める医療委員会がマンモグラフィーによる乳がん検診の廃止を勧告。有害無益というのが、その理由です」

 

それなのに現在、日本全国の自治体で行われている乳がん検査で、国が推奨しているのは問診とマンモグラフィーのみ。

 

「日本ではマンモグラフィーを受けていれば安心という“神話”が根強くあります。しかし、それも考え直さなければいけない時期にきているといえるでしょう」

 

「新宿ブレスセンター クサマクリニック」の日馬幹弘院長も、そう語る。

 

「小さなしこりやしこりになる前の石灰化した病変を見つけることができるマンモグラフィー検査は、乳がんの早期発見に効果があることは明らかです。妻・麻央さん(33)の進行性乳がんを発表した市川海老蔵さんの会見を受け、私どものクリニックにも『マンモグラフィー検査を受けたい』と来院する女性が増えています。20代の方も少なくありません。しかし、マンモグラフィーには大きな欠点があることは、あまり知られていないことなのです」

 

このマンモグラフィー検査の欠点について、日馬院長はこう続ける。

 

「マンモグラフィーの画像で見ると乳がんの部分は白く写ります。と同時に、乳腺も白く写るのです。そのため、とくに乳腺が密集している20?40代の女性の場合“真っ白な雪原で白ウサギを見つける”くらい、がんの判別が難しくなります。一方、閉経後の女性の乳腺は脂肪に変わります。脂肪はマンモグラフィーでは黒く写るので、白く写るがんは比較的見つけやすくなる。マンモグラフィーで効果的に発見できるのは50代以上ということになります」

 

さらに日馬院長は、マンモグラフィーの画像を読み解く医師の力量にも課題があると指摘する。

 

「『読影認定医』という資格を取り、マンモグラフィーの機械を入れさえすれば、『乳腺科クリニック』という看板を掲げて開業することができます。そのため、マンモグラフィーが検診事業に取り入れられてから、乳腺科クリニックが多く開業しましたが、なかには画像をしっかり読み取れない医師もいるのです。立体的な画像にする最新の3Dマンモグラフィーにより明確な診断が可能になりましたが、それでも読影技術が未熟な医師によって、がんが見落とされて、手遅れになってしまうケースもあるのです」

 

今の段階では、マンモグラフィーと超音波検査、そして触診でしか乳がん発見の方法はない。だが、マンモグラフィーひとつに頼るだけでは、安心とはいえないようだ。