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「結婚後も外に働きに出る人が増えたことにより、仕事でのストレスや、ライフスタイル自体の変化、さらに食生活の欧米化など、女性をとりまく社会環境は大きく変わりました。それとともに、10〜20年ほど前から、おもに男性がかかると思われていた病気になる女性が増えています」

 

そう警鐘を鳴らすのは、日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長。飲酒に喫煙、仕事上のストレスで、とくに働く女性の毎日が男性化することにより、かかる病気も“オッサン化”しているという。

 

「診察中に偶然、硬いしこりができている口腔がんを見つけることがありましたが、ほとんど中年男性でした。ところがここ数年、年1〜2回程度ですが、若い女性の口腔がんを確認しています」

 

こう語るのは、江口歯科・矯正(横浜市)の江口康久万院長。舌がんなどをふくむ、口の中にできる口腔がんは、飲酒や喫煙などの生活習慣の乱れが原因とされ、中高年の男性特有のがんといわれていた。

 

「年間7,000人が命を落とす口腔がんですが、かつては罹患する割合は男女比3対1。でも、この40年で女性の罹患者が2倍に増加。男女比も3対2と女性の比率が高まり、死亡率も増えています。女性に増えている要因は、粘膜を傷つけるような歯の放置。致命的になる前に、日ごろのチェックが重要です」(江口先生)

 

また、アルコール依存症も女性に増えている。

 

「’03年に8万人だったアルコール依存症の女性患者は’13年に14万人。増加のペースは男性患者を超えています」

 

そう話すのは、アルコール依存症専門クリニック「ひがし布施クリニック」(東大阪市)の辻本士郎院長。クリニックを訪れる患者100人のうち、女性は30人近くにのぼるという。

 

「女性の肝臓は男性よりも小さく、アルコールを分解する能力が少ない。そのうえ女性ホルモンには分解を遅らせる作用も……。男性と同じ量を飲酒すれば、肝臓に与えるダメージは大きいのです。ところが最新の統計では20代の女性の飲酒率が、同世代の男性よりも高くなっています。さらにチューハイやカクテルなど女性が好む、甘いお酒も多く売られており、今後もアルコール依存症の女性患者が増える恐れがあります」(辻本先生)

 

生活習慣病の第一人者である、前出の池田先生によれば、“中年男性の病気だから、女性がなるわけがない”ーーそう考えることが危険だという。

 

「“男性特有の病気”だと思い込んでしまったことで、疾病の発見・治療が遅れるケースもあります。これまでは男女差があり、男性に圧倒的に多いといわれてきた病気であっても、社会環境の変化により、女性がかかってしまう可能性があることを、女性の皆さんがしっかり意識しておくことが大切です」

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