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「現代人が抱えるさまざまな悩みに乳酸菌は有効です。大腸がんの予防だけでなく、生活習慣病をはじめとした体の不調も解消してくれる万能パワーがあるのです」

 

こう語るのは、大腸内視鏡検査で5万件以上無事故の腕を持つ、大腸専門医で新宿大腸クリニック院長の後藤利夫先生。後藤先生は“大腸がん撲滅”を目標に、腸内細菌と乳酸菌を研究。乳酸菌の持つ力に着目した著書『乳酸菌がすべてを解決する』(アスコム)をはじめ、乳酸菌を取り入れる健康法を提唱している。

 

「年間約5万人が亡くなり、部位別のがんによる女性の死亡原因でもトップとなった大腸がんの増加と、現代人の腸内環境の悪化は関係しています。健康のためには、腸内環境を整えることが必須。その“救世主”となるのが乳酸菌なのです」(後藤先生・以下同)

 

腸内環境を整えることが健康によいと最初に実証したのは、ノーベル賞学者であるロシアのメチニコフ博士。

 

「ブルガリア地方の老人たちが健康で長寿なことに着目し、彼らが日常的にヨーグルトを食べることで腸内環境が改善されると実証しました。乳酸菌の研究はそこから始まったのです。今では、乳酸菌は体によい作用をもたらす微生物『プロバイオティクス』として注目されています」

 

また、乳酸菌と、スーパーなどでよく目にするビフィズス菌は、じつは“別もの”であると後藤先生。

 

「乳酸菌には棒状の“乳酸桿菌”と、丸い“乳酸球菌”の2種類があり、おもに微量の酸素がある小腸にいます。一方、ビフィズス菌はV字やY字形。酸素が苦手なため、生息しているのは酸素のほとんどない大腸です。ただ、どちらも腸内環境を整える“善玉菌”ではありますので、ビフィズス菌も乳酸菌の“仲間”と考えていいでしょう」

 

大腸にいるビフィズス菌は、腸内を酸性に保つ働きをして、便通を改善。小腸にいる乳酸菌は、免疫細胞を助け、免疫力アップをサポートーーと、それぞれに活躍する分野も違っている。

 

「また、乳酸菌にもビフィズス菌にも、たとえば“ビフィドバクテリウム属・ロンガム種・BB536株”といった具合に、菌属・菌種・菌株で分類された正式名称があります。そして菌属には十数種類、菌種には何百種類、菌株にいたっては何千種類もある。それらの研究を進めた結果、『どんな体の不調のときに、どの菌を取ればいいか』が、どんどん明らかになってきています。最近、ヨーグルト製品によく菌種や菌株の名前がついていますが、その菌に効能があることが、データで実証されているのです」

 

言い換えれば、体の不調から、足りない乳酸菌もわかるということだ。それでは自分が気になっている体調からわかる、足りない乳酸菌と、それが含まれる商品を紹介。

 

【アレルギー体質】

 

足りていない乳酸菌「LGG乳酸菌」

含まれている商品「おなかへGG!」(タカナシ乳業)

 

【ストレスに弱い】

 

足りていない乳酸菌「ビフィズス菌BE80株」

含まれている商品「ダノンビオ」(ダノンジャパン)

 

【ぽっこりおなか気になる】

 

足りていない乳酸菌「ガセリ菌SP株(SBT2055株)」

含まれている商品「ナチュレ恵シリーズ」(雪印メグミルク)

 

足りていない乳酸菌「LGG乳酸菌」

含まれている商品「おなかへGG!」(タカナシ乳業)

 

【歯周病や口臭が気になる】

 

足りていない乳酸菌「ロイテリ菌」

含まれている商品「ロイテリヨーグルト」(オハヨー乳業)

 

【血糖値が気になる】

 

足りていない乳酸菌「クレモリス菌FC株」

含まれている商品「カスピ海ヨーグルト」(フジッコ)

 

【血圧が気になる】

 

足りていない乳酸菌「GABA(乳酸菌生成物・アミノ酸)」

含まれている商品「明治のむヨーグルトGABAで元気」(明治)

 

【尿酸値が気になる】

 

足りていない乳酸菌「PA-3乳酸菌」

含まれている商品「明治プロビオヨーグルトPA-3」(明治)

 

【コレステロール値が気になる】

 

足りていない乳酸菌「ガセリ菌SP株(SBT2055株)」

含まれている商品「ナチュレ恵シリーズ」(雪印メグミルク)

 

体の不調別に必要な乳酸菌がわかったところで、最後に、ヨーグルトや乳酸飲料を上手に取り入れるコツを、後藤先生にうかがった。

 

「まずは2週間、1日200グラムを毎日、取り続けましょう。朝昼晩いつでもいいですが、乳酸菌が胃を通過しやすい食後がオススメです」

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