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「寝たきりや要介護になる人のほぼ半数は、認知症の発症や転倒による骨折、衰弱が原因です」

 

こう話すのは、タニタヘルスリンクの管理栄養士で、健康運動指導士の龍口知子さんだ。厚生労働省の’16年度の調査によれば、要支援や要介護が必要になったきっかけは、認知症が18%、高齢による衰弱が13.3%、骨折・転倒が12.1%、関節疾患が10.2%となっている。

 

「そして、これらを引き起こすのが、高齢者に多い『サルコペニア』や『フレイル』と呼ばれる状態なのです」

 

はたして「サルコペニア」や「フレイル」とはどのような症状なのだろうか? お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二さんはこう説明する。

 

「サルコペニアとは、日本語でいえば『筋肉量減少症』です。体の筋肉が減ってくると骨密度も下がります。よって転倒や骨折をしやすくなってしまう。また、筋肉量の減少に加えて、骨も弱くなり、メンタルも弱くなってしまった状態を総合的にみて『フレイル』といいます。日本語で表せばまさに『虚弱』ですね」

 

この状態が続けば、認知機能が下がり、認知症になってしまうことも……。白澤さんは両者のもっとも大きな要因は「加齢」にあるという。

 

「年を取ることは防げませんが、生活習慣の改善をすれば、これらを予防することができます」

 

そう教えてくれたのは、前出の龍口さんだ。若いころに比べ「食欲が減った」「運動できなくなった」と実感するという声は、50代以上に多い。

 

「加齢によって、食が細くなると、外出するのがおっくうになってしまいます。すると、運動量が減り、ますますおなかが減りづらくなり、食事が細くなります。こうした負のスパイラルに陥ることで、栄養状態が悪くなってしまう。つまり、“栄養失調”の状態となり、体が弱ってしまいます」

 

“高齢栄養失調”にならないためには、どうすればいいのか? 龍口さんは、「まず、“健康的な食事”の先入観を改める必要がある」と説く。

 

「健康的な食事と聞くと、『野菜や魚』中心の食事を思い浮かべる人は多いと思います。しかし、高齢になってくると、これだけでは栄養不足です。じつは、高齢者ほど、タンパク質を多く摂取しなければいけないんです」

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