日本人の3人に1人ががんによって死亡している。国立がん研究センターがん情報サービスによると、死亡数が多い部位は、女性の場合、大腸に続いて肺が2位。国立がん研究センター東病院の呼吸器外科科長の坪井正博先生が語る。

 

「肺がんは、40代くらいから発症者が徐々に増えだし、70代でピークをむかえます。特に喫煙との関連が大きいと見られているのが、扁平上皮がんと細胞肺がんです。一方、非喫煙女性にも多く、増加傾向にあるといわれるのが、肺の奥や末梢に生じやすい、腺がんです。かつて、肺がん患者の男女比は7対3ほどでしたが、特に腺がんでは女性の比率が同等くらいに増えてきました」

 

30年で罹患者は3倍超、死亡者も2倍になった肺がん。「喫煙しないので関係ない」と思っていた人が肺がんになる。そんな事例が増加している。

 

「肺がんの死亡率が高いのは、早期は症状がほとんどなく、見過ごされることが多いためです」

 

そう話すのは、日本医科大学呼吸器内科学の久保田馨先生。

 

「咳が2週間以上続いたり、血痰が出たり、胸部の痛みがあったら、受診をすすめます」

 

しかし、症状が出てからでは進行している可能性が高いと続ける。

 

「肺がんは骨や脳にも転移しやすく、肩や腰に持続的な痛みがあったり、腕がマヒして、ようやく肺がんがわかるケースもあります」

 

前出の坪井先生は、病院差があると前置きしたうえで次のように語る。

 

「新規の肺がん患者さんの35%ほどはステージ1(5年生存率80%)ですが、リンパ節に転移したステージ2は15%(同50%)、気管の周辺のリンパ節に転移しているようなステージ3は20%(同20~30%)、他臓器に転移しているステージ4は30%(同10%前後)にもなります」

 

なんと、がんが発見されたときの3人に1人がステージ4だという。定期的な検診が欠かせないが、一般的な健康診断だけでは見つかりにくいという。仙台厚生病院の臨床検査センター長の遠藤希之先生が解説する。

 

「肺がんのチェックといえば、集団健康診断などのエックス線検査を思い浮かべる人も多いと思いますが、女性に多い腺がんを、早期で見つけることは非常に困難です。かなり見過ごされることがあるといわれています。多くのがんを発見するのに有用なPET検査でも、扁平上皮がんのように塊になっていれば発見できますが、ごく早期の3センチ以下の腺がんの場合、細かい網目の組織に、小さながん細胞が点在しているため映りづらいのです」

 

もちろん、エックス線検査でも早期がんが発見されたり、別の病変が映り込み、精密検査をして見つかることも少なくないが――。

 

「有効なのが2ミリスライスの低線量CT検査です。早期の腺がんも、すりガラス状の陰影となって映ります。50歳以上であれば、被ばくリスクよりも、ベネフィットが上回ります。毎年エックス線検査を受けるなら、2年に1度のCT検査をすすめます」(遠藤先生)

 

前出の久保田先生も同意見だ。

 

「今年9月に発表された、オランダで1万5,000人を対象とした大規模な研究ですが、CT検査を受けない人よりも、受けた人のほうが、肺がんで死亡するリスクが、男性で20~30%、女性に至っては40~60%も減っているのです」

 

親族にがん患者がいる人や、喫煙、受動喫煙など、リスクの高い人は、CT検査を受けると安心できそうだ。

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