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「腰と首は離れていて、一見つながりがなさそうですが、じつは表裏一体の関係。首をケアすれば、腰痛は改善されます。腰椎の変形によるひどい腰痛でも諦めないで」

 

こう話すのは、上部頸椎カイロプラクターの島崎広彦さん。東京都青梅市に構える治療院「オフィス・シマザキ」は、口コミでその評判が広まり、全国から予約が殺到。今年5月に出版した新著『「痛み」も「コリ」も首次第』(清流出版)が、今注目されている。

 

島崎さんが行うのは、首の骨である頸椎の治療。体全体が健康でいるためには、頚椎の自然なカーブが重要だという。

 

「頸椎は、首から腰までをつなぐ背骨の一部。背骨は24個の骨で構成されており、そのうち上から7個が頸椎に当たります。首は上下左右に広く動かすことができますが、それは頸椎の可動域が広いため。しかし裏を返すと、それだけずれやすい場所だといえます」

 

滑って尻もちをつくなどの強い衝撃だけでなく、悪い姿勢を続けていても徐々にずれていき、本来の自然なカーブが失われるという。

 

「背骨には、脳からの指令を体中に伝える神経である脊髄が通っています。頸椎が歪むと、この神経の通り道が邪魔され、脳からの指令が正確に届かなくなるのです。すると、体中に不調が現れるようになり、首から離れた腰の痛みにも悪影響を与えます」

 

スマホを使うときの姿勢が原因で起こる「ストレートネック」も、頸椎の自然なカーブが失われ、本来あるべきでない直線状に変化した状態だ。島崎さんは、近年、ストレートネックになる女性が増えていると警鐘を鳴らす。

 

「その理由は、スマホの使いすぎだけでなく、腰痛を引き起こす『反り腰』にあります。運動不足から腹筋の筋力が落ちると体の前側を支えきれず、腰が反った姿勢になります。おなかがぽっこり前に出るので、バランスを取るため首を前に突き出すことに。これがストレートネックになる原因です」

 

ストレートネックになって最初に自覚する症状は、その姿勢に直接起因する腰痛、目の疲れ、首や肩のこりなど。これが続くと、やがて自律神経にまで影響が及ぶようになり、不眠症、イライラ、のぼせ、倦怠感など、いわゆる自律神経失調症と呼ばれる症状を感じるようになる。

 

「いちばん上の頸椎と隣り合う脳幹には、自律神経の中枢があります。隣り合わせだけに頸椎の歪みの影響を受けやすく、余計な刺激で神経の伝達が阻害されると、自律神経の働きが悪くなって体中に不調が及ぶようになります」

 

自律神経のバランスが乱れると、体に備わっている自己治癒力が落ち、腰の痛みは悪化する。腰の歪みが首の歪みを招き、それがさらに腰痛を悪化させるという悪循環に陥るのだ。

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