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「『デトックス効果がある』『毒素を抜くことでアンチエイジングになる』……。いま、医師や美容業界の中には、お金もうけのために、それっぽい専門用語を使って“トンデモなウソ”を拡散する人たちがいます。そして彼らは、主婦層を狙う場合が多いのです」

 

そう語るのは五本木クリニック院長の桑満おさむ先生。ちまたでささやかれる“医療のウワサ”を集め、論文をもとに真偽を確かめる“ニセ医学バスター”としてブログに記事を投稿している。

 

今回、桑満先生は、女性がだまされやすい、ニセ医学に基づいた「美容のウソ」を教えてくれた。

 

■岩盤浴で汗を流したからといって、毒素は流れない

 

「毒素は尿や便として排出されますから、『汗で毒素が排出できる』という科学的証明はありません。岩盤浴も含め、多くのトンデモ美容法は“デトックス”という言葉とセットで使われますが、この言葉を聞いたらまず疑うべきです。実際、イギリス国営の医療事業団体は、『デトックスと呼ばれる言葉は怪しいものであり、そのような製品を購入する必要はない』と警鐘を鳴らしていますよ」

 

■腸のひだに「宿便」がたまる、ということはありえない

 

「宿便」とは、腸壁にこびりついている老廃物のこととされ、体重増加や肌荒れの原因といわれている。数日間断食をしたり、下剤を飲むことで、“宿便をはがす”デトックス法もよく耳にするが……。

 

「大腸内視鏡検査をした方ならわかると思いますが、腸壁に便はたまっていません。そもそも腸壁は新陳代謝ではがれ落ちるもので、“便がずっとこびりついている”ということはありえないのです。プチ断食も、医師の指導のもとでなければ危険なので要注意」

 

■「コラーゲンを食べると肌がプルプルになる」は大ウソ!

 

「コラーゲンはたしかに肌の弾力を支える成分の1つですが、食べたコラーゲンがそのまま皮膚をつくるということはなく、体内で分解され、尿となって排出されておしまいです。さらに、肌が新しく生まれ変わるのには約1カ月かかりますから、前日に摂取したからといって肌質は変わりません」

 

■シャンプーにまつわる「経皮毒」という考え方は誤り

 

化学成分を含むシャンプー剤を使わず洗髪する“ノンプー”について、「白髪が減った」「頭皮トラブルが改善した」と、その効果をうたう専門家もいる。

 

「頭皮の皮脂や髪の脂分を取り除きすぎないために、という理由で使用しないぶんには構いません。しかし、『シャンプーに含まれる界面活性剤が皮膚を通して血管に入り込み、体をむしばんでいく』といういわゆる“経皮毒”の考え方には全く根拠がない。化学物質は、そう簡単に皮膚のなかには入り込みません。プールに長時間入ったからといって、体に塩素は入ってこないですよね?」

 

まったく根拠のない“ニセ医学”でもだまされがちな主婦は多い、と桑満先生。のめり込みすぎたりすると、「健康を損なう恐れもある」と警告する。

 

「たとえば、“経皮毒”などを信じ、『化学物質は毒』という思い込みがエスカレートしてしまい、『薬には頼らない。ワクチンも危険』という考えに行きついてしまう人も。感染症を予防するワクチンを使うか使わないかは、命に関わることですから、独断で決めていいものでは決してありません」

 

“この美容法、なんか怪しい”、そう感じたら実践しないでおくのがベストのようだ。

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