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増え続ける体重、体力低下……さらに「脂質異常症」と医師に診断され、「痩せなきゃ」と焦る本誌女性記者(55)。「HIIT」のメニューはちょっとキツいものばかりだが、4週間で8セット行ったときに“明らかな変化”がーー。

 

「1日4分“ちょっとキツい”運動をするだけで、45分間軽めに運動するのと同じ効果を持つエクササイズ法が注目されています。しかも、毎日行う必要はありません。実践すれば、体重や体脂肪率が減るだけでなく、血糖値・血圧改善、認知機能の向上、善玉コレステロール増加などの効果も期待できるんです」

 

“20秒運動して、10秒休む”を8セット。これを週に2~3日行うだけで、体のあらゆる悩みが解決する--。著書『世界一効率がいい最高の運動』(かんき出版)が5万部のベストセラーとなった、東海大学医学部で教授を務める川田浩志先生はそう語る。

 

「アスリートたちが実践しているトレーニング方法のなかに、HIIT(ヒット)というものがあります。HIITとは、全速力でのダッシュをはじめとした高い負荷がかかる運動と休息を、短い間隔で交互に行うというもの。私が紹介するエクササイズ法も、HIITの考えにもとづいています。HIITを行うことで、『有酸素運動』の脂肪燃焼効果、『無酸素運動』の筋力アップ効果の両方を超短時間で得られるのです」

 

50代突破をきっかけに体重が増加し、「痩せなきゃ、健康でいなくちゃ……」が口癖になってきた本誌記者。だけど、アスリートが日ごろから行っている運動なんて、ぜったいにムリ!

 

「安心してください。一般の人でも、“自分のペース”でHIITを行うだけで、健康促進や病気予防などに効果があるという研究結果が続々と出ているんです」

 

HIITは、ほかの運動法と何が違うのだろうか。川田先生はこう話す。

 

「筋肉細胞の中には、『ミトコンドリア』というエネルギーを生み出す器官があります。このミトコンドリアは、体に摂取された酸素を燃料に、たくさんのエネルギーを供給し、健康な体を作り上げています」

 

ミトコンドリアの量と質は、年齢とともに減少・低下していく。

 

「ミトコンドリアの質が落ちてしまうと、老化の加速、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー病、がんの原因でもある『過剰な活性酸素』が生み出されます。HIITは、筋トレのように筋肉を増やして筋力をアップさせるだけでなく、そこに有酸素運動の要素も加わることで、筋肉のミトコンドリアの数を増やし質を高め、さらに心肺機能も向上させる。健康な体を作るミトコンドリアの働きを高めると同時に、そのエネルギーのもとになる酸素の摂取量も増やすことができるのがHIITなのです」

 

今回、川田先生は「50代女性のために」と、フィットネスクラブ「ティップネス」監修のもと、オリジナルのHIITメニューを本誌記者に提案してくれた。

 

川田先生が提案してくれたHIITは、次の4つ。【1】を自分のペースで20秒行い、10秒休んだら【2】を行い、10秒休む。同様に【3】と【4】を行ったら、それをもう1セット繰り返す。

 

【1】ワイドスクワット(20秒)

 

下半身を強化し、基礎代謝を上げることで太りにくい体に。お尻のたるみ解消や、内ももを鍛えて骨盤のゆがみを整える効果も。

 

(1)脚を大きく開いて立ち、つま先を斜めに広げる。両手を組んで背筋を伸ばしバランスをとる。
(2)太ももが地面と平行になるまでお尻を落とし、上半身をまっすぐに維持して立ち上がる。
(3)1と2を繰り返す。

※つま先より前にひざを出さない。背筋を丸めない。ひざとつま先は常に同じ方向に向ける。

 

【2】マウンテンクライマー(20秒)

 

体幹(腹筋)を強化し、姿勢をキレイに。おなかのたるみが気になる人も。

 

(1)床に両手をついて、脚から頭まで一直線になるポジションをとる。体の中に1本の棒が通ったイメージをする。
(2)左右のひざを、交互にひじに近づける。ひざが地面につかないように。

※背中、お尻が上下に浮き沈みしないように。

 

【3】バックランジ(20秒)

 

ワイドスクワットと同じく、下半身を強化し基礎代謝を上げる(太りにくい体に)。お尻のたるみにはもちろん、ももうらを鍛えることで歩き方にも変化が。

 

(1)両腕を前に伸ばして組んで立つ。片脚を一歩後ろに引いて、前脚のひざの角度が90度になるまでお尻を落とす。
(2)前脚側のお尻を意識しながら、体を持ち上げていく。ある程度立ち上がったら、逆の脚に替える。それを繰り返す。

※背筋を丸めない。上体とひざをつま先より前に出さない。

 

【4】ツイストジャンプ(20秒)

 

体幹(腹筋)強化。ウエストをねじって脇腹をスッキリさせる効果が。また、ジャンプすることで血流促進、むくみ解消、疲労回復に。

 

(1)脚を肩幅に開き、両腕を肩の高さまで真横に上げる。
(2)上半身を正面に向けたまま、下半身全体を左右にツイストしながらジャンプする。

※上半身は正面を向いたままズラさない。あくまで脚だけをひねってジャンプ。

 

さっそく、本誌記者も実践! 開始時点での体重は53.1キロ、体脂肪率は31.9%だ。

 

初めての「ワイドスクワット」は、まっすぐお尻を落とすのが難しい。背筋を伸ばすことに注意すると、2秒に1回行うのがせいいっぱい。「マウンテンクライマー」では、1秒に1回、左右の脚を入れ替えようとしてみるが、後半10秒が苦しく、息も上がりだしてきた。

 

つづく「バックランジ」は、“90度ひざを曲げる”ことを意識すると、どうしてもすばやくはできず。初めは10回も行うことができなかった。まだ1セットも終えていないのに、体からは汗が……。「ツイストジャンプ」では、思いっきりジャンプしてみるも、高く跳べない。私の体はこんなに重かったのか、と痛感……。

 

2セット目を終えたころには、汗も止まらず、思わず床にぐったり。最もキツく感じたのは「マウンテンクライマー」と「ツイストジャンプ」の運動だったーー。

 

開始から週に2回実践。20日目(4週目)、体重は52キロ台をキープできるように。8回目を終えた27日目には、体脂肪率も29.1%を記録。たった8回×4分=約30分のHIITで、体重は約1キロ、体脂肪率は約3%減少した。

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