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「暇さえあればスマホを触り、“写メ”をメモ代わりにしたり、出かけるときに地図アプリを使うなど、スマホに頼る生活を送っていませんか? こうした行為が、もの忘れや精神的な落ち込みなど認知症に似た症状を招いています」

 

そう話すのは、脳神経外科医でおくむらメモリークリニック院長の奥村歩先生。外出自粛の巣ごもり中、日に何度もネットニュースを確認するなど、スマホを触る時間が長くなってはいないだろうか。

 

奥村先生のクリニックの「もの忘れ外来」には、全国から毎日100人以上の患者が来院するが、その年齢層は、10年前とは様変わりしているという。

 

「以前は高齢者がメインでしたが、最近は患者さんの約半数が30〜60代で、認知症発症には早い年代。訴えを聞いていると、スマホなどIT機器に頼りすぎている人が多いことに気づきました。特徴的なのは、もの忘れのほか、うっかりミスが多発したり、イライラや落ち込みが激しくなるといった傾向。私はこれを『スマホ認知症』と呼んでいます」(奥村先生・以下同)

 

心当たりのある人は、奥村先生が考案した次のチェックリストを試してみよう。

 

【10の「行動」チェック】

□ スマホは家でも仕事中や移動中でも、すぐに手に取れる場所にスタンバイしてある
□ 電車内、待ち時間など、時間が空いたらスマホを取り出すのがクセになっている
□ 「あの人の名前、誰だっけ」などの「?」が頭にうかんだときは、すかさずスマホで検索
□ 時刻表など“これ、覚えとかなきゃ”と思ったものは、迷わずスマホで「写メ」を撮る
□ 初めての場所へ行くとき、スマホなしでは目的地へ時間どおりにたどり着ける自信がない
□ スマホやパソコンなしに調べものをすることはすっかりしなくなった
□ 年がら年中忙しく、ひっきりなしに時間に追われている
□ 「情報に乗り遅れること」に対して不安や恐怖を抱いている
□ スマホの着信音やバイブレーションの「空耳」が聞こえることがある
□ 夜、ふとんやベッドの中でもスマホをやっている

 

【10の「脳」チェック】

□ ここ数年、昔よりも記憶力が落ちた。あるいは、もの忘れが増えたと感じている
□ 会社の同僚など、よく知っているはずの人の名前がすぐに出てこないことがよくある
□ 2階へ何かを取りに来たのに、“何を取りに来たんだっけ”といったようなことがよくある
□ 予定していた会議や約束を忘れていたり、ダブルブッキングをすることがある
□ 3日前、何の仕事をしていたのかを思い出せない
□ 「ここ数カ月で話題になったニュース」を3つ挙げることができない
□ 最近、漢字が書けなくなった
□ 小学生でもできるような簡単な計算を間違えて、ハッとすることがある
□ スマホで検索すればわかりそうなことは、頭で覚えておかなくてもいいと思っている
□ すぐに道を覚えられなくなった。スマホに頼ってばかりで道を覚えようとしなくなった

 

【10の「心身健康」チェック】

□ 頭も体も、重だるい感じが抜けず、いつも疲れている
□ 朝から晩までイライラしている。つまらないことで感情を乱したりするようになった
□ よく眠れないことが多く、慢性的な睡眠不足状態である
□ 頭痛、めまい、疲れ目、肩こり、腰痛・便秘など、体のあちこちに不調を抱えている
□ 仕事や家事に集中できず、以前はしなかったようなつまらないミスをすることが多い
□ 何もやる気が起こらない。以前から好きだったことに対して興味が湧かなくなった
□ ちょっとしたことで落ち込んだり、くよくよしたりするようになった
□ 仕事、料理、掃除などの段取りが悪くなった
□ 最近、あまり笑っていない
□ 近ごろ、季節の移り変わりや旬の食べ物などに対して鈍感になってきた気がする

 

20項目以上が当てはまる人は「スマホ認知症の危険性大」、10〜19項目の人は「危険度中」、9項目以下の人は「危険度小」だ。

 

「スマホは便利なツールですが、雑多な情報が洪水のように流れこんでくる危険もあります。情報を取り込み続けると、脳は“ゴミ屋敷”と化し、必要なときに必要な情報が取り出せなくなります」

 

人間の記憶のプロセスは、大まかに「(1)入力、(2)分類・保持、(3)検索・取り出し」の3つに分かれる。スマホ認知症では、このうち(2)と(3)に問題が起きているそう。

 

「脳を図書館にたとえましょう。(1)は新刊の入荷、(2)は新刊の分類と保管、(3)は本の検索と貸し出しです。スマホ認知症では、(1)で入荷される新刊の量が多すぎ、(2)の分類が追いつかず、(3)で本の検索ができない状態。記憶があっても、その取り出しができなくなる。これが、もの忘れの原因です」

 

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載

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