“ウィズコロナ”による健康志向の高まりを受け、今、ダイエットも自然回帰傾向にあるという。結局のところ、「適度な運動とバランスのいい食事が何より大事」……というものだ。
しかし、「そりゃそうだ」と納得しつつも、できれば苦労しないと嘆く声も多い。そんな彼らが最後のとりでとして希望を託す“勝手にやせちゃう行動学・心理学”をご存じだろうか。とある生活習慣を取り入れるだけで、ダイエットせずに“やせ効果”が得られるというものだ。
今回、SNS上でも支持率の高いネタをピックアップ。はたしてその真偽はいかに!?
「結論から言うと、すべて“あり”です。これらは世界中の専門機関で研究が行われ、医学的見地からみても効果が認められているものがほとんど。脳や神経、細胞などに働きかけて体本来の機能を高めることが、結果、やせることにつながります」
と、うれしいお墨付きをくれたのは、内科医、皮膚科医、眼科医、医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾統括院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学特任教授の日比野佐和子先生。日比野先生が「噂の太らない習慣」のメカニズムを検証!
【検証1】食事の20〜30分前に笑う
“笑う”行為には運動効果が認められている。
「ただし、ほほ笑み程度ではなく“大笑い”が前提。1日15分、声を出し腹膜を使って大笑いすると、約40kcalがエクササイズとして消費され、8週間では2,240kcal、約0.3kgの体重減少効果があります。さらに、食前に大笑いすると、ストレスホルモンが低下して食後の血糖値上昇を防ぐほか、免疫力アップが期待でき、さらに効果的です」(日比野先生・以下同)
ただし、20〜30分前という根拠は見当たらない。
【検証2】食事の際は箸置きを使う
「つねに箸を持っていると絶えず料理をつつきやすくなり、かむ回数も減りがちに。いわゆる早食い状態は体内の消化・吸収をせかすため、血糖値の上昇を招き、“肥満ホルモン”と呼ばれるインスリンの分泌を増やし、脂肪をため込みやすくします。ひと口ずつ箸を置いてゆっくり、たくさんかめばよりおいしく感じられるようになり、脳も満足して食べすぎを防げるほか、消費エネルギーも増えます。“ひと口30回そしゃく”を目安にしましょう」
【検証3】ヨーグルトは朝でなく夜に食べる
朝食時のイメージが強いヨーグルトだが、じつは夜に食べるほうが断然効果的。
「消化器の腸管は、寝てから3時間までの深い眠りに入ったあたりから働きがもっとも活発になります。そのため、夕食後にヨーグルトを食べると整腸作用が高まり、“おなかスッキリ=やせる体づくり”の土台ができるのです。ドリンクタイプでももちろんOKで、1日100〜200gが理想の摂取量。冷えが気になる人は、乳酸菌が死滅しない人肌程度まで温めても」
【検証4】入浴は夕食の前に済ませる
「食後のカロリー消費を目的に夕食後に入浴する人も多いようですが、胃の消化不良を招くので避けましょう。食前の空腹時にじっくり浴槽につかるほうが、体脂肪がエネルギーに使われるペースは早くなります。さらに、全身に血液がめぐって血流がよくなると胃液の分泌が抑えられ、食欲の抑制にもつながります。ただし、入浴後は糖質の吸収力が高まるため、その後の食事は野菜や肉から食べ始めるほか、炭水化物の量は少なめにして」
日比野先生自身も1年で15キロ体重を落とした経験があるが、なんとこの習慣すべてを実践していたという。
「急激な数値減少はありませんが、体への負担もなく、じつは理想的なダイエット方法なのです。医師としてもおすすめします!」
「女性自身」2020年10月27日号 掲載