「通常、ウイルスの感染経路は、人が出す粒子径5マイクロメートル以上で1〜2メートルしか飛ばないしぶきによる“飛沫感染”と“接触感染”によるとされています。ところが、新型コロナウイルスは5マイクロメートル以下の『マイクロ飛沫』でも感染することがわかってきました。マイクロ飛沫は通常の飛沫より飛距離が長く、密閉空間での浮遊時間が長いことがわかっています。そのため、換気が重要となってくるのですが、寒くなると急に室内に冷たい空気を取り込むことで起こる健康リスクにも配慮しなくてはなりません」
こう話すのは、札幌医科大学医学部微生物学教授の横田伸一先生だ。新型コロナウイルスの飛沫感染を防ぐためにも、室内の換気は1時間に5分程度が理想とされているが、真冬の厳しい寒さは心筋梗塞や心不全などの重篤な疾患のリスク要因とされている。そこで横田先生が推奨するのが「2段階換気」だ。
「2段階換気とは、人がいない部屋の窓を開け、その部屋を通じて空気の流れを作る換気方法。直接外気を入れるのに比べ、室温の急激な変化を防ぐことができます」(横田先生・以下同)
たとえば、人のいない部屋の窓とドアを開けておき、廊下づたいにリビングに外気を通す。さらにその空気をリビングの換気口や換気扇を通して外へ流す……というイメージだ。
これにより、窓を開け放つのに比べ、急激な室温の変化を抑えることが可能になるという。
【コロナに負けない「真冬のお部屋の空気の管理法」】
■人がいない部屋の窓から「2段階換気」を!
急激な室温の低下を防ぐため、人のいない部屋の窓やドアを開けて空気の流れを作る。
■窓のない部屋はサーキュレーターで空気を流す!
窓がない部屋は空気がよどみがち。扇風機などを駆使して部屋の外に空気が流れるように。
■換気扇など「機械換気」も活用する!
キッチンや浴室、脱衣所に設置されている換気扇も空気の流れを作ってくれるので有効活用を。
■加湿器は窓の近くに置かない!
窓の近くに加湿器を置くと、窓が結露し、部屋の温度低下につながってしまうためNG。
■エアコンの風はサーキュレーターで循環させる!
エアコン使用時にサーキュレーターで空気の流れを作ると、室温を効率よく上げることができる。
■換気の目安は60分に1回!
ウイルスを長時間生存させないためにも部屋の換気は60分に1回、5分程度行うのが理想的。
換気口などがない場合は、窓を数センチあけて空気を外に流そう。
「空気の流れができているかが大切です。もし窓がない部屋など換気の難しい空間がある場合は、扇風機やサーキュレーターなどを使って空気の流れを作りましょう」
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載