「加齢による顔のたるみに、マスク生活が拍車をかけています」
こう話すのは先月『年齢たるみが1分で解消! 顔面整頓』(サンマーク出版)を出版した、鍼灸師のかとうようこ先生。マスクが手放せないコロナ禍の生活で「最悪の場合、『顔面土砂崩れ』を起こしかねません」と、警鐘を鳴らしている。
「たるみの原因は主に3つ。(1)表皮の保水力の低下、(2)真皮層のたるみ、(3)表情筋の衰え、です。とくにマスク生活で進行しがちなのが(1)。ただでさえも、年をとると喉の渇きを感じにくくなる。そのうえ、いつもマスクをしているため、マスク内の湿気によって私たちは、体内の水分不足をこれまで以上に感じ取れなくなっています。マスク下で、気付かぬうちに顔が枯れてしまった、なんて事態にもなりかねません」
さらに、かとう先生が憂慮するのが、(3)の表情筋について。今年春、テレワークや巣ごもり生活が始まり2カ月ほど経過すると、かとう先生の鍼灸院にも体調不良を訴える患者が急増した。
「自粛期間が明け、鍼灸院に来た患者さんのなかには、滑舌が悪くなったり、声が小さくなった方が少なからずいました。一人暮らしの人などは、声を出しづらくなったというケースも。外出をひかえ、他者と会話する機会が激減した結果、皆さん一様に首から上がこわばり、表情が乏しくなって、顔のたるみが進行しているんです。会話というのは舌を動かし、喉の筋肉を使い、表情筋も使います。これまで、当たり前にしていた誰かとのおしゃべりが、じつはとても大切な筋トレだったのです」
コロナ禍の漠然とした不安も、顔面土砂崩れの遠因だという。
「不安感から常時、知らず知らず歯を食いしばってしまっている人も少なくない。あご周りの筋肉を痛め、顎関節がゆるむことで、たるみにつながるのです」
顔面土砂崩れには、いくつかの兆候があるという。
「怒っていないのに『怒ってる?』とよく聞かれる、これは表情筋の衰えのサインです。また、頬の内側をよくかんでしまう人も要注意。頬筋がたるんできている可能性大。視力低下も兆候の1つ。目の周りの筋力の低下は、目の下が落ちくぼんだり、くまができたりして、たるみを生み出します。口の開け閉めがスムーズにできなくなった人も、十分気をつけましょう。さらに、いまとても多いのが耳が痛くてマスクがつらいという人。その痛みも、耳に近いあご周りの筋肉からの悲鳴かもしれません」
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載