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初診には4時間かけ、その診療費は10万円というこの歯科。それでも多くの患者の“駆け込み寺”となっているのは、抜歯治療によって異変を感じる人が多いからだというーー。

 

「現在の歯科治療においては、安易に歯を抜こうとする風潮を感じます。それは、歯を残すだけの治療技術を歯科医が持っていない、インプラントを埋め込む手術のほうが歯科医にとって儲かる、という側面があるからです。しかし、歯を失うことで、認知症、心疾患、脳疾患のリスクが高まります。また、高額なインプラントを入れたとしても、未熟な技術による“失敗例”も聞かれるため、歯科医選びは重要です」

 

こう警鐘を鳴らすのは、『歯は抜くな』(文溪堂)の著書もある、岩田有弘歯科医院の歯科医・岩田有弘さんだ。

 

「初診時に年齢が45〜54歳の場合、日本人が18年間で失う歯の本数は6.12本(’05年歯科疾患実態調査)。しかし、当院でメンテナンスをしている患者さんは、わずか0.2本にとどまっています」

 

その秘密は、口内環境を徹底的に調べ、ベストな治療法を探る「4時間もの初診」にあるという。

 

「予防に関するビデオを見てもらい、どんな悩みがあり、どんな治療を望んでいるのかを、じっくり伺います」

 

通常、どの歯科医院でも歯周ポケットの深さや出血の程度、歯茎の腫れをチェックするが、岩田さんは1本の歯に対して6カ所もチェックするため、28本の歯で、168カ所も診ることになる。

 

「歯科医で撮るレントゲンは、カメラが顔の周りを移動して全体を1枚の写真で撮影するのが主流ですが、それでは背骨が映り込むため、はっきりと映りにくい部分があります。当院ではそれとは異なるレントゲン撮影を14回に分けて撮影。患者さんがかかりつけ医に戻って利用できるよう、レントゲン写真はお渡ししています」

 

さらに、虫歯の原因となるミュータンス菌、虫歯の進行に関わるラクトバチルス菌がどれだけいるのかも調べる。

 

「これは保険適用外の診察ですが、あまり歯科医にとっては儲けにならないため、やりたがらない歯科医が多いのが現状。でも、虫歯になりやすいかを判定するためにも必要だと感じています」

 

岩田さんが行う治療は保険診療ではカバーしきれないため、初診で約10万円もの自由診療となる。それでも患者が途絶えないのは、駆け込み寺として「歯を抜かない」選択肢を示してくれるためだ。

 

「とはいっても、通常の歯科医でも十分にできる治療をしているだけ。多くの歯科医がそれらを怠っているのです。たとえば根管治療といって神経を抜いた歯の根を掃除するといった、歯科医なら誰でもできるような治療があるのですが、実際には根管治療を怠る歯科医が多いようです」

 

「女性自身」2021年2月2日号 掲載

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