放置すると視力低下の原因にもなるドライアイ。その原因は、目の水分……ではなく“アブラ”不足なんです! 目からアブラを出すセルフケアを眼科医に教えてもらいました――。
「実はドライアイは、目の脂不足が原因で起こります。まぶたの裏など目のまわりには、20~30個のマイボーム腺という脂の分泌腺があり、この脂が涙と混ざり合うことで、目の表面が乾かないようにしてくれています。しかし、女性の場合、メークが原因でマイボーム腺が詰まってしまい、涙に含まれる油分が減少。涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになってしまうことが多いんです」
こう話すのは眼科医の宇佐美欽通先生だ。YouTubeチャンネル「目の悩みスッキリTV」では“眼科医ヨシユキ”として、目のセルフケアを紹介している。
そもそもドライアイとはどのような状態を指すのだろうか?
「ドライアイとは目の不快感や見えにくさを伴う異常のことです。医学的な診断基準だと、違和感や異物感などの自覚症状があり、目の表面の涙が5秒以下で乾いてしまう状態を指します。涙はまぶたの潤滑油。ちょっとした違和感だから心配ないと思っている人でも、涙が乾いて少なくなると、まばたきをするたびに目に摩擦が起こり、黒目を傷だらけにしてしまうこともあるんです」
ドライアイは目の違和感・不快感だけでなく、“生活視力”の低下も引き起こすという。
「視力検査で測る視力ではなく、生活のなかで使う“視る力”のことを生活視力といいます。生きていくなかでは、視力検査の数値よりもこちらのほうが重要です。ドライアイの症状である視界のぼやけや目のかすみは、日常生活のなかに見えづらさを引き起こしますが、これはまさに生活視力の低下。ドライアイを治せば、この生活視力は改善できるんです」
ドライアイが疑われる場合、市販の目薬をさすのは、その場しのぎの対処法にしかならないという。
「ドライアイは目の表面に涙をとどまらせる能力が落ちている状態なので、目薬をさしても流れるだけ。脂を分泌するマイボーム腺の詰まりを取り除き、脂をきちんと分泌させることで、乾かない涙をつくることが必要です」
そこで、宇佐美先生が脂の詰まりを解消するための“アブラ掃除”術を教えてくれた。手を洗い、アイメークを落とした状態で行おう。
■ステップ1:ホットタオルで脂を溶かす
【1】タオルを水に浸して絞る
【2】【1】を電子レンジで温める(500W:1分、600W:40秒)
【3】閉じた目の上に乗せて、2分間温める(やけどに注意!)
■ステップ2:マイボーム腺クリーニングで詰まった脂を取り除く
〈用意するもの〉綿棒またはコットン
【1】下まぶたを軽く下に引っ張り、赤目とまつげの間を、綿棒やコットンで軽く滑らせ往復する(優しくなぞるように!)
【2】数回、まばたきをして目を休ませる(【1】【2】×2回)
【3】上まぶたを軽く上に引っ張り、赤目とまつげの間を、黒目に当たらないように注意しながら、綿棒やコットンで軽く滑らせ往復する
【4】数回、まばたきをして目を休ませる(【3】【4】×2回)
※清潔な綿棒やコットンをお使いください。また目の異常が出た場合は直ちに中止し、異常が続く場合は医師にご相談ください
「まずはホットタオルで目を温めて詰まった脂を溶かしましょう。脂がしっかり溶ける10分間温めるのが理想ですが、時間がないという人は2分間でも大丈夫です。ホットタオルをラップで包むと冷めにくくなりますよ。目が温まって、脂が出やすい状態になったら、綿棒かコットンで赤目と下まつげの間をやさしく拭いて、詰まった脂やメーク汚れを取り除きます」
所要時間は2つ合わせても3分程度。1日1回行うとよいという。
「刺激が強いと感じる場合、綿棒やコットンを水にぬらすか、薬局で購入できる目のまわり専用の清浄綿を使用してください」
目のアブラ詰まりを解消して、潤った瞳を取り戻そう。
「女性自身」2021年6月1日号 掲載