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巣ごもり生活が長引き、外出する機会が減ったことで、運動不足の人が急増している。「平らな道を歩いてつまずくようになった」「階段を上がるのがつらい」「布団の上げ下ろしがきつい」など、日常生活の中で衰えを感じる場面が増えてきたら要注意!

 

「コロナ禍で、外出を控えている人も多いと思います。特にコロナに感染すると重症化が懸念される糖尿病などの持病がある人はひきこもりの状態だとも聞きます。外出しないことでコロナに感染するリスクは軽減できますが、1日の活動量が減ることは、健康で長生きするためには大きなマイナスとなってしまいます」

 

そう警鐘を鳴らすのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科准教授の横山美帆先生だ。健康で長生きするためには“自力で動ける体”をいつまでも維持することが重要となる。

 

国立長寿医療研究センターのインターネット調査でも、「コロナ禍で、高齢者は1週間の身体活動時間が3割(約60分)減少した」と、報告されているように、体を動かす機会は確実に減っている。緊急事態宣言が延長され、活動量がいっそう減少すると、健康に害を与える可能性が高まってしまう。

 

「日々の活動量が減ってくると、筋肉の量が少なくなり、関節の動きが悪くなります。また、体が硬くなり、骨がもろくなるだけでなく、心肺機能も衰えてしまいます。また、外に出るのがおっくうになり、人と接する機会が減ると、認知機能の低下にもつながってしまいます。人の体はとても賢くできていて、体を動かさないと脳が『この機能はここまで必要ない』と判断して、縮小していきます。そして運動機能が衰えると、“フレイル”に陥ってしまいます」(横山先生・以下同)

 

フレイルとは、日本老年医学会が提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことをいう。

 

厚生労働省が発表した資料によると、日本人の平均寿命と健康寿命(医療や介護に依存しないで自立した生活ができる生存期間)の差は、男性は約9年、女性は約12年。女性は約12年間がフレイルの期間で、介護を要するということになる。コロナ禍による運動不足が長引くほど、健康寿命は縮まり、介護の期間が延びることが懸念されるのだ。

 

ほかに、身体活動量の低下が、死亡リスクを高めるというデータもある。WHO(世界保健機関)がまとめた’04年時点での死亡や医療負担につながる危険因子ランキングでは、高血圧、喫煙、高血糖に続いて、運動不足は4位に位置している。1〜2週間という短期間の活動量の低下でも、生活習慣病のリスクが高くなることがわかってきている。

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