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「『お薬を飲み続ける=病気が治る』ではありません。逆にずっと病気が治らないからお薬を飲み続けているのです。このことに気づかない限り、長期にわたって薬を飲み続けていると、その弊害として副作用の影響を受けることになります」

 

こう話すのは、「薬を使わない薬剤師」として活動している宇多川久美子さんだ。

 

「症状が体に出ているということは、『体の状態に異変がある』という体からのシグナルです。熱や発疹が出たり、鼻水やくしゃみが出ているときは、体が闘っている証拠なのです。ところが、それを薬で蓋をしてしまっては、そのときは症状が落ち着いたとしても、根本的な解決にはなっていません」(宇多川さん・以下同)

 

これは一例だが、薬には血圧や血糖値を下げるもの、胃酸の分泌を止めるもの、脳内分泌物質を抑えるものなど、さまざまな働きで体の不調を整えてくれる役割がある。

 

しかし、薬はあくまでも応急処置として一時的に助けてもらうものであって、長期間にわたって服用したり、依存するものではないと宇多川さんはいう。

 

「薬には必ず副作用というものが伴います。長期服用をすることで、血流障害になったり、もっと先のことを考えると、認知症や脳梗塞などにつながりかねないものもあると考えています」

 

今回、宇多川さんの監修のもと、長期服用をされがちな薬をリストにしてみた。

 

 

■風邪薬

 

〈市販薬〉

【イブプロフェン】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃腸出血、腎障害、肝障害、食欲不振、腹痛、下痢、発疹、頭痛など。

【クレマスチンフマル酸塩】働き:くしゃみ、鼻水などアレルギー的症状。/副作用:排尿困難、神経過敏、頭痛、焦燥感、胸やけなど。長期服用で認知症のリスク。

 

〈処方薬〉

【デキストロメトルファン】働き:咳止め。/副作用:薬物依存のリスク、めまい、頭痛、不眠、便秘、胃腸障害、過敏症など。

【ロキソプロフェンナトリウム】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃潰瘍などの消化管出血、腸閉塞、眠気、腹痛、むくみなど。

 

■胃腸薬

 

〈市販薬〉

【炭酸水素ナトリウム(重曹)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル】働き:胃酸の中和。/副作用:長期の常用でアルツハイマー型認知症の要因リスク。

 

〈処方薬〉

【ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)】働き:胃酸抑制。/副作用:肝障害、黄疸、意識障害、間質性腎炎、急性腎障害、間質性肺炎、便秘、下痢、頭痛、めまい、顔面浮腫など。

【プロトンポンプ阻害薬(PPI)】働き:胃潰瘍の修復。/副作用:長期服用による骨折、認知症の発症リスク、視力障害、錯乱障害、肝障害、間質性腎炎、急性腎障害、間質性肺炎、味覚異常、頭痛など。

 

■解熱鎮痛薬

 

〈市販薬〉

【ロキソプロフェンナトリウム】働き:解熱・鎮痛。/副作用:ショック、アナフィラキシー、胃潰瘍などの消化管出血、腸閉塞、眠気、腹痛、むくみなど。

【イブプロフェン】働き:解熱・鎮痛。/副作用:胃腸出血、腎障害、肝障害、食欲不振、腹痛、下痢、発疹、頭痛など。

 

■睡眠薬

 

〈市販薬〉

【ジフェンヒドラミン】働き:睡眠改善。/副作用:発疹、動悸、めまい、倦怠感、神経過敏、頭痛、眠気、嘔吐、下痢、長期服用で認知症発症のリスクなど。

 

〈処方薬〉

【ベンゾジアゼピン系(トリアゾラム、ブロチゾラム、クアゼパム】働き:睡眠導入。/副作用:うつ状態、自殺願望、長期服用で薬物依存、離脱症状(けいれん発作、せん妄、幻覚)、精神症状(刺激興奮、錯乱)、物忘れ、肝障害、ふらつき、めまいなど。

 

■頻尿・夜尿症

 

〈処方薬〉

【抗コリン薬(フラポキサートなど)】働き:膀胱の過敏さを抑える。/副作用:認知症、脳の働きの低下、口中乾燥、便秘。

【β3受容体アゴニスト】働き:膀胱を弛緩させて尿をたまりやすくする。/副作用:動悸、めまい、口中乾燥、尿路感染症、肝機能障害。

 

■骨粗しょう症薬

 

〈処方薬〉

【経口ビスホスホネート製剤(ミノドロン酸、アレンドロン酸など)】働き:骨を強くする。/副作用:骨折、顎関節症、便秘、腹痛、頭痛、吐き気など。

 

■向精神薬

 

〈処方薬〉

【ベンゾジアゼピン系抗不安薬】働き:抗不安作用。/副作用:うつ状態、認知機能の悪化、健忘症状、眠気やふらつき、意識・精神障害(せん妄)など。

【SSRI(パロキセチンなど)】働き:セロトニンの取り込みを抑制。/副作用:うつ状態、セロトニン症候群(手足が震えたり汗が出たりする)、錯覚、幻覚、けいれん、倦怠感、意識障害など。

 

■糖尿病

 

〈処方薬〉

【インスリン製剤】働き:血糖値を下げる。/副作用:急激な低血糖、うつ状態、せん妄、けいれん。

【スルホニル尿素薬(グリメピリド、グラクラジドなど)】働き:すい臓のインスリンをつくる。/副作用:急激な低血糖、うつ状態、せん妄、けいれん。

【チアゾリジン誘導体(ピオグリタゾンなど)】働き:血糖値を改善させる。/副作用:心臓に負担、骨を弱くするリスク。

【α‐グルコシターゼ阻害薬(ミグリトール、ボグリボースなど)】働き:消化吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑える。/副作用:腸閉塞、低血糖、腎盂炎、敗血症、脱水など。

【SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン、タパグリフロンジンなど)】働き:血糖値を下げる。/副作用:腸閉塞、低血糖、腎盂炎、敗血症、脱水など。

 

■脂質異常症

 

〈処方薬〉

【スタチン】働き:コレステロール値を下げる。/副作用:発がんの可能性、消化器症状、間質性肺炎など。

 

■認知症

 

【コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)】働き:認知症の進行を遅らせる。/副作用:不整脈、湿疹、肝機能障害、けいれん、脳血管障害、食欲不振、嘔吐、下痢など。攻撃性が増すことも。

【NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)】働き:認知症の進行を遅らせる。/副作用:めまい、傾眠、けいれん、転倒、頭痛、便秘、食欲不振、攻撃性、妄想など。腎機能が低下している場合は特に注意が必要。

 

そもそも薬は長期服用するものではない。薬をいつまでも飲み続けるのは避け、「常に医師に丸投げ」という姿勢をとり続けるのはやめよう。

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