■無理に体を動かすと、後遺症は悪化する
そこで、平畑先生が臨床現場で模索した結果わかってきた、効果的なセルフケアを押さえておこう。
「当院では、重い後遺症を抱えていた患者さんの7割が、適切なケアをすることで、当初の半分ほどに症状が和らいでいます。特に、上咽頭の炎症がある方には、耳鼻咽喉科で炎症を治療するのがよいでしょう。上咽頭の治療を行う耳鼻科が近くにない場合は、“鼻うがい”を実践してみてください。ぬるま湯に1~2%の食塩を入れて生理食塩水を作り、それを片方の鼻から吸って、もう片方の鼻から出します。苦手な方は、市販の鼻うがいのキットを利用するといいでしょう」
食生活の見直しも必要だ。
「胃酸が上がってくると、鼻咽頭が刺激されて荒れてしまいます。それを避けるため、就寝前1時間以内の水分摂取や甘いもの、油もの、炭酸飲料などは控えましょう」
また、思うように体が動かないからといって、焦るのは禁物だ。
「鍛えれば治る、と思って無理に体を動かす方がいますが、悪化の原因になるので、絶対にやめてください。また、スマホやテレビなどの画面を長時間見るのも、脳の負担になります」
とはいえ、いちばんの対策は、「コロナに罹らないこと」だろう。
「“鼻うがい”は、感染予防にも効果的です。一日6回の鼻うがいをすることで、家庭内感染を防げたという事例もあるんです」
少しずつ解明されつつあるブレインフォグだが、まずは感染しないように努めよう。