■支出以上に負担となる収入の減少
また、がん治療が長期化した場合は、収入が減るリスクにも対応しなければならない。
「これまで相談を受けた中で、がん治療をしていて収入が増えたという人はいませんでした。会社員の場合、最長1年6カ月間は傷病手当金が受けられますが、支給されるのは給与の3分の2のみ。自営業にいたっては傷病手当金がありません」
がんは就労への影響も大きく、がん対策情報センターの調査によると、がんによって退職、廃業した人は約20%、休職、休業した人は約55%もいるという。
このようながんによる困窮を防ぐためにできることはあるのだろうか? 上さんはこう助言する。
「胃がんはピロリ菌を除菌、大腸がんは内視鏡検査でポリープを切除すれば、そもそもがんになるリスクを大幅に減らせます。さらに胃がんの場合、がん治療費.comによれば内視鏡で除去できるものであれば5日ほどの入院で1年目の治療費も12万円で済みます。しかし、胃の3分の2を切除するような手術になると、入院日数が17日、費用も43万円に跳ね上がります。つまり予防、早期発見、早期治療が、治療費増や収入減のリスクを抑えることにつながるのです」