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デルタ株の3〜5倍とされる強い感染力で、国内でも感染が広がっているオミクロン株。その脅威を前に、私たちに何ができるのだろうか。

 

「オミクロン株も新型コロナウイルスの変異株ですから、これまでの予防と変わらずマスク着用と手洗い、こまめな換気が基本です。さらに、鼻の穴の奥を洗浄する『鼻うがい』を加えることが効果的でしょう」

 

そう語るのは、免疫システムに詳しい、堀田修クリニック院長の堀田修先生。うがいはこまめにしている人も多いが、「鼻うがい」がどうして大切なのだろう。『ウイルスを寄せつけない! 痛くない鼻うがい』(KADOKAWA)の著書がある堀田先生に、鼻うがいで得られる効果を聞いた。

 

「オミクロン株はデルタ株に比べて、重症化を引き起こす免疫機能の暴走『サイトカインストーム』を起こしにくいタイプであることに加え、肺炎も起こしにくく、また鼻の奥にある『上咽頭』で増殖しやすい特性があると報告されています。上咽頭は、体内に侵入してきたウイルスと真っ先に闘うための免疫細胞が密集している、いわば免疫システムの最前線。細かい毛の生えた繊毛上皮細胞で覆われていて、そこに免疫の監視役として多数のリンパ球が入り込んでウイルスの侵入を防ぎます。しかし、乾燥した状態が続くなどして繊毛上皮細胞が傷んでしまうと、この働きは低下してしまいます。鼻うがいには、上咽頭を洗浄し、繊毛上皮細胞の働きを活性化させる効果があります」(堀田先生・以下同)

 

PCR検査では、鼻の奥の粘膜を綿棒でこすって検体を採取する。つまり、上咽頭は私たちが新型コロナウイルスに最初に「感染」する場所ともいえる。免疫の最前線である上咽頭の防御システムを強化することが、鼻うがいの狙いのひとつだ。

 

「さらに、吸気を介して運悪くコロナウイルスが上咽頭に入り込んでしまった場合でも、オミクロン株の潜伏期間はおおむね3日。ウイルスが増殖するまでの間に洗い流してしまうことが重要です。みなさんが日ごろ行っている『ガラガラ口うがい』で洗えるのは中咽頭(口の奥)だけで、上咽頭に多く付着しているウイルスは洗い流せません。うがいでウイルスを除去するという点においては、鼻うがいのほうが有効といえるのです」

 

’20年には、米国のオーガスタ大学で、新型コロナウイルス感染症の患者79人に2週間にわたって鼻うがいを実施したところ、重症化率が8分の1にまで低下したと報告されている。

 

「英国エジンバラ大学が’19年に発表した研究では、鼻うがいの習慣によってかぜの罹患期間が22%短縮され、家族への感染も35%減少したという結果が得られています。この研究チームは、新型コロナウイルスの感染予防のために、鼻うがいを実践すべきだと提唱しています」

 

こうしたエビデンスのあるものであれば、ぜひ日常に取り入れたいところ。

 

ドラッグストアでは専用の鼻うがいキットが複数販売されている。それらを使うのも手だが、鼻うがいは身近にあるもので実施できる。

 

用意するのは100円ショップなどで手に入るドレッシングボトルなどの容器と食塩水だけ。容器は、使用前後に煮沸消毒することを忘れずに。

 

「1回の鼻うがいで使用するのは食塩水200〜250ミリリットルほど。朝と晩の1日2回行うのが原則ですが、帰宅した直後や、のどがイガイガするときなど、必要に応じて増やしてもかまいません。鼻うがい用の食塩水は、水道水1リットルに対して食塩10グラム(小さじ約2杯)を混ぜて溶かすだけ。使用する塩は粗塩(天然塩)でも食塩(精製塩)でもいいでしょう。水道水は煮沸したほうがいいといわれることもありますが、日本の水道水の水質基準は厳しいため、飲料水として使用可能なら、そのまま使っても問題ないと私は考えています」

 

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