■人工関節にして活動範囲が広がった
「通常であれば、関節にある軟骨同士がクッションの役割をして、滑るように動くのですが、加齢や遺伝、肥満などにより膝や股関節の軟骨がすり減ると痛みが生じます。初期の症状や受診するタイミングがわかりづらく、悪化しやすいのも特徴。痛みがガマンできなくなって受診したときにはかなり進行しており、人工関節手術の適応となる場合が多いのです」
もしや、私も? という人は次のチェックリストで確認してみよう。
【こんな症状があったら 人工関節の検討を】
□ 歩き方がおかしいと他人から指摘される
□ 杖を突かないと歩けない
□ 夜中に股関節が痛くて目が覚める、眠れない
※どれか1つでも当てはまる人は、人工関節の手術で楽になる可能性があり!
「初期の段階なら、股関節への負担を減らす運動や薬物による保存療法でも対処が可能です。家族性があるため、痛みや違和感以外に、家族に股関節の悪い人がいることも受診の目安にしてください」
人工関節を入れたことで、暮らしが明るくなり活動範囲も広がった人という人は多い。
読者のBさん(65)は健脚が自慢。夫とともに、さまざまな観光地に行くことを趣味としていた。
「60歳を過ぎたころから、たくさん歩くと左足の付け根が痛むようになり、3年ほど前に変形性股関節症と診断されました。コロナ禍が始まった’20年の初めには、ついに歩くときに足を引きずるように……。そのころ、ちょうど娘に子どもが生まれ、育児をサポートすることを楽しみにしていのですが、それもできなくなりました」
家の中でちょっと歩いただけで痛みが出るような状態で、外にも出られずふさぎ込みがちに。夫や娘からは認知症や心の病になったのではないかと心配されたという。
「’21年の秋に手術を受けると、以前のように歩けるようになりました。孫と遊んだり、旅行にも行けるようになったんです。夫や娘からは、以前よりも明るくなったと言われています」
演歌歌手の島津悦子(60)も変形性股関節症により、57歳のときに人工関節に。手術をする前は、痛みのあまり眠ることもできなくなり、仕事にも支障をきたしていたが、術後1カ月たったころには杖なしで歩けるまでに回復。痛みもほとんどなくなったという。