■関節の耐久性もアップ! 入れ換え不要なケースも
これほどまでに、回復が早いのは、進歩した医療の功績も大きいそう。
「手術の傷を小さくする低侵襲手術が広まり、傷の大きさは10センチほどで済みます。また、ロボットやコンピューターを活用して正確かつ精密な手術ができるので、手術は1時間から1時間半ほどで終了。体への負担も少なくなりました。以前は術後3週間の安静が普通でしたが、今は手術翌日から動いてもらいますよ」(杉山先生)
リハビリは、術後2~3日ごろから行うことが多いという。
「術後のリハビリでは杖を使った歩行や階段の上り下り、自宅での安全な動作の仕方を覚え、約2週間で退院・帰宅できます。リハビリをしっかりされたい方は、1カ月程度入院できるリハビリ機能のある病院を選ぶと安心です」
冒頭のAさんの場合、術後1日目はベッドで安静にし、2日目からリハビリを行ったという。
「つらかった関節の痛みは手術直後から全くなくなりました。さすがに切った傷は痛みましたが、痛み止めの注射を打っているのでたいしたことはありません。術後1週間で杖を使って歩く練習を始め、2週間で退院。その後しばらくは杖を使っていましたが、半年後には手術したことさえ忘れるくらい、動けるようになったんです」
さらに、かつて懸念されていた“人工関節の耐久性”も格段に上がったと杉山先生。
「以前は、人工関節自体の耐用年が10~15年とされ再度交換手術が必要になる場合もありました。しかし、今は一般的な運動量の人で30年は持つように。さらに、加齢とともに運動量も減少するので、75歳以降はいわれている耐久年数の2倍は持つと考えられます。60歳で人工関節に換えた人なら105歳まで持つという計算ですね。耐久年数の向上から、50代で手術を受ける人も増えています」