■同時期に最愛の母を自宅で介護し、看取る
「親の介護は、私1人で連絡も手配もすべてしなければならない。そんな中、地域包括支援センターの方や周りの方のありがたみを感じることが多くて。1人で抱えこまずに『私、もうここまでです』と人に頼っていいと、初めての経験でした。更年期もそう。『私、今こんな状況でつらい』と、素直に周りに頼るチャンスだったんです」
有森さんは長年の趣味のバレエの先輩に「大好きなバレエに来られないほどつらい」と打ち明けた。
「先輩は、『大丈夫よ。更年期なんてね、通り過ぎちゃうもんだから。いつかは楽になるから大丈夫』と、軽やかに受け止めてくれて。好きな先輩の言葉で、すごく楽になりました。同級生とも話しましたよ。症状がない人も、市販薬を飲んでいる人もいて、みんな捉え方も違う。何より人と話をすることで、自分の更年期を自覚できました。それからは筋トレやストレッチを続け、体にいい食事を心がけましたね。大変でしたが、人生で背負ってきた荷物を下ろし、少しずつ自分を楽にしてあげる方法を学べた気がします」
■更年期=障害ではない。過去も未来も見直す節目の時期
「更年期は、誰にも強制的にやってきますが、経験者でも互いのつらさを“共有”はできません。それでも“理解”してもらえることは救い。それぞれの解決法や答えは自分の中にあり、自分のことは自分がわかってあげるのが一番の救いになると思います。今は更年期を抜けて、軽やか。大好きなバレエも復活。なぜ更年期の時期だけバレエが嫌になったのか、今も理解不能な謎です(笑)」
有森さんの笑みがはじけた。
【PROFILE】
有森也実
’67年、神奈川県生まれ。中学生でモデルデビュー。『キネマの天地』(’86年)、『東京ラブストーリー』(’91年)など女優として活躍。昨年19年ぶりに写真集『prayer』を発売