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「最近、冷凍したおかずをそのまま弁当に入れ、自然解凍して食べる、という家事テクニックがSNS上ではやっています。しかし、この行為は食中毒を引き起こす可能性があるのです」

 

そう警鐘を鳴らすのは管理栄養士の寺内麻美さん。

 

「市販でも『自然解凍OK』という冷凍食品が多く出回り、簡単で時短にもなると人気があります。それをまねるのか、自家製の冷凍おかずや自然解凍OKとはうたっていない冷凍食品を、保冷剤代わりに凍ったまま弁当箱に詰め、自然解凍で食べる人がいるのです」

 

冷凍自体は悪くないが、「解凍法」に注意してほしいと寺内さん。

 

「お弁当に多い食中毒は黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ、サルモネラによるもの。これらの菌は20~37度で活発に増殖します。

 

細菌類は冷凍で一時的に活動を止めますが、死滅するわけではありません。自然解凍によって温度が上がると菌は活動を始め、解凍で水分が出るとさらにどんどん増殖して、食中毒を起こすのです」

 

自然解凍OKの冷凍食品には、厳格な基準が定められている。

 

「自然解凍OKを明示するためには、『気温35度で9時間保存しても1g中の細菌数が基準以下、0.01g中の大腸菌群は陰性=検出されない』というルールをクリアしないといけません。クリーンルームのような厳しい衛生管理のもとで製造されたものだけが自然解凍OKとなるのです。家庭で同じような衛生管理をするのは難しいでしょう」

 

冷凍食品でも加熱調理が必要なものは、自然解凍だと食中毒の危険がある。東京都健康安全研究センターが、自然解凍可の冷凍食品と加熱調理が必要な通常の冷凍食品を35度で9時間保存した後の細菌数を調査。すると、自然解凍可の冷凍食品から大腸菌は検出されなかったが、通常の冷凍食品では約10%の商品から大腸菌が検出(1g中の大腸菌群が陽性)されたという。

 

「冷凍食品は、パッケージに記載された調理方法を守ることが大切です。また、家で作った冷凍おかずは必ず加熱を。加熱後、冷ましてから弁当箱に詰めるのです」

 

レンジでチンのひと手間が、食中毒のリスクを低減させるという。

 

5~6月は気温や湿度が上がるため、細菌性の食中毒を起こしやすい時季だ。

 

「食中毒を予防するには、こまめな手洗いや、弁当箱などを清潔に保つことで菌をつけない、保冷剤などを利用して低温を維持し、菌を増やさないことも大切です」

 

腹痛や下痢、嘔吐などに苦しむ食中毒はまっぴらごめん! 安全においしくお弁当を楽しもう。

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