脇汗は保険診療で治せる(写真:PIXTA) 画像を見る

「気温が上昇し、薄着になる季節。とくに多汗症の女性は、脇汗などが気になると思います。でも、そんな悩みを解消する薬が’22年1月に厚労省で認可されているので、保険診療で治療が受けられる場合があるんです」

 

こう語るのは、医療法人社団五良会・竹内内科小児科医院の院長の五藤良将さん。

 

じつは、脇汗を代表に、歯ぎしりやいびきのような、放置しがちなからだの悩みのなかには、病気が隠れており、保険診療で治療できるケースがあるという。“意外な保険診療”を、五藤さんに解説してもらった。

 

※3割負担の場合の金額概算、編集部調べ(以下同)

 

【脇汗】約860円(月/薬の代金)

 

「保険診療の対象となる脇汗は、正式には『原発性腋窩多汗症』。はっきりとした原因がわからないのに、過剰な脇からの発汗によって、頻繁に衣服を交換しなければならない場合が疑われます」

 

処方薬「ラピフォートワイプ」の資料によると、脇汗で「恥ずかしい思いをする」「着たい服を着られない」「人との交流をためらう」などの悩みがある人は、要相談と記されている。

 

「1日1回、腋(わき)の下を、1回使い捨てのウエットシートで拭います。治療開始から2週間で急激に効果があらわれ、約40%の人が発汗量が半分以下に改善したと報告されています。3割負担でも、1カ月の薬代は860円ほどです」

 

【まぶたのたるみ(眼瞼下垂)】約5万円(両目/手術費用)

 

上まぶたのたるみにも保険が使える場合が。年齢とともに垂れ下がってきたら、眼瞼下垂が疑われるという。

 

「主に加齢が原因となって、まぶたをつり上げる筋肉が弱まるなどして、上まぶたが下がって(下垂して)しまう病気です」

 

目を開けるために力を入れるので、額にシワができたり、頭痛、肩こりなどの症状があらわれる。

 

「重度になれば、まぶたが黒目を塞いでしまうほど下がってしまいます。日常生活に支障をきたす場合は、手術となります。眼科や形成外科での一般的な手術の費用は、左右両方で5万円ほどです」

 

【いびき(睡眠時無呼吸症候群)】約5000~1万円(月/医療機器のレンタル料)

 

いびきも病院で治せる。“たかが、いびき”と侮りがちだが、しっかりとした治療が必要な場合も多いのだ。

 

「舌根沈下といって、睡眠時に舌が弛緩して喉の奥に落ち込み、気道を圧迫することが、いびきの主要因です」

 

習慣的にいびきをかく人は2000万人もいるが、うち300万人は、睡眠時に1時間に5回以上、または1晩に30回以上の無呼吸、もしくは低呼吸が起きる「睡眠時無呼吸症候群」が疑われる。

 

無呼吸状態となると心臓に負担がかかり、不整脈のリスクが約4倍、脳卒中が約3倍になるというデータもある。

 

「自宅で行える簡易モニターによる検査などで診断します。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、一般的にはCPAP(シーパップ)という、睡眠時に、口に直接空気を送り込む医療機器を利用。月のレンタル料は5000~1万円ほどです」

 

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