些細な習慣が寝たきりに…(写真:PIXTA) 画像を見る

「立ったり歩いたりの日常生活で消費される『非運動性熱産生』は1日の消費エネルギーの約4割。ホルモンバランスが変化する50代から、あえてまめに動き非運動性熱産生をあげる必要があります」

 

そう話すのは、お茶ノ水健康長寿クリニックの院長・白澤卓二先生。健康寿命を延ばすためには運動が重要。また、筋肉量を維持することは認知症の予防にもつながるよう。

 

中高年の筋力運動、健康政策などを研究する筑波大学大学院教授の久野譜也先生が語る。

 

「筋肉は何歳になっても鍛えれば若返ります。逆に動かさなければすぐに衰え、筋力低下によって寝たきりや、糖尿病や心臓病、脳卒中を招きます。昨今では、体を動かすことで血流がよくなるだけでなく、筋肉の刺激により脳が活性化して認知症を予防するともいわれています」

 

だが、日常生活で運動量を減らしてしまうNG習慣があるという。そこで、ついつい気づかずにやっているNG習慣を白澤先生と久野先生に教えてもらった。

 

【1】車を店舗の入口の近くにとめる

 

ショッピングモールやスーパーの駐車場では、入口に近いところに車をとめたほうが便利だが……。

 

「どんな細かいことでも、体を動かすことが大事。入口まで遠いほどラッキーと思いながら、背筋を伸ばしながら歩く習慣をつけましょう」(白澤先生)

 

【2】いつでもエスカレーターを使う

 

エスカレーターを当たり前に使っている人は、健康を引きよせるチャンスを逃しているようだ。

 

「外出時には階段を使うようにするだけでも、ウオーキングやランニングとほぼ同様の効果が得られます。足を大きく持ち上げてゆっくり一段一段のぼっていくようにすれば太ももの大きな筋肉が鍛えられます。大きな筋肉を動かしたほうが、脳への刺激が高まるとも考えられています」(久野先生)

 

【3】平坦な道ばかり歩く

 

「ウオーキングや散歩では坂道や階段など高低差をつけたコースにしましょう。神社にある石段のような不規則性の段差は筋力アップが期待できます」(白澤先生)

 

【4】コンビニには車で行く

 

どんなに近くても、車を使ってコンビニに行っている人は多い。

 

「最近の研究では、1日30分歩くのと朝昼晩で3回に分けて10分ずつ歩くのはともに効果があることが明らかに。短時間歩くこともチリも積もれば山となる、という発想で1日、1週間単位で帳尻合わせも可能です」(久野先生)

 

【5】ランチはいつも近くの店

 

いつも近所の店でのランチもいいが、ときにはちょっと遠いけど歩いていける店をチョイスしよう。

 

【6】用事のときは人に来てもらう

 

所用があれば、相手に来てもらうのではなく、自分から出向くという姿勢が心身の老化を防ぐカギ。

 

【7】電車やバスではすぐに座る

 

「揺れる車内であえて座らないことで腹部と下半身をつないでいるインナーマッスル(深部筋)の大腰筋が鍛えられます。大腰筋が衰えると正しい姿勢が維持できなくなり、足を持ち上げる力も低下。つまずきやすくなったり転びやすくなったりします」(白澤先生)

 

【8】和式トイレを避ける

 

ひざや腰に問題がないなら洋式ではなく和式トイレを使う選択も。しゃがむ動作は、下半身の筋肉が衰えやすい中高年にオススメだ。

 

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