早期発見が肝(写真:PIXTA) 画像を見る

《少しの間、大好きな歌と絵から離れなきゃいけないのは寂しいけれど、必ず元気になって戻ってきますので待っててね》

 

歌手の八代亜紀(73)が、9月12日、自身のホームページで膠原病の治療に専念するため、年内の活動を休止すると発表した。

 

「膠原病とは、体の外からやってきた細菌やウイルスなどの異物を攻撃する体に備わっている免疫が、誤って自分の体を攻撃して起こる病気の総称です。20種類以上ある膠原病のなかでももっとも頻度が高く、よく知られているのが関節リウマチです」

 

と語るのは、日本リウマチ財団理事で松野リウマチ整形外科(富山市)院長の松野博明先生。

 

患者数は約60~70万人と推計される関節リウマチ。しかも女性は男性の3~5倍も多い。

 

なぜ起こるのだろうか?

 

「原因は不明ですが、親や祖父母などに発症者がいる場合には発症率が上がることから遺伝的な要因もあります。しかし、喫煙や歯周病など後天的なリスク要因も複雑に関係し合います。 また男女差があり、妊娠中に症状が軽くなり、閉経後に症状が悪化するなどから女性ホルモンの影響も考えられていますが、はっきりした結論はまだ出ていません」(松野先生、以下同)

 

関節リウマチの初期は、関節の中で骨の働きをスムーズにする滑膜に炎症が起こって腫れや痛みが現れる。特に症状が出やすい場所は手指の第2関節と第3関節で、91%と罹患者のほぼ全員が発症する。

 

「関節リウマチは進行すると、関節部分の骨が破壊されて変形したり、動きが不自由になったりします。また炎症が全身に広がり骨粗しょう症や間質性肺炎などの合併症を起こすリスクも高まります」

 

関節リウマチは40~50代が発症のピークだが、昨今、発症する年齢が上がってきているという。

 

「かつては40歳で関節リウマチを発症する人が多かったのですが、最近は50~60代で発症する人が急激に増えています。ライフスタイルや食生活の変化などの影響があるようですが、国内だけでなく世界的に起こっている現象。理由はわかっていません」

 

60歳以上で発症する関節リウマチは高齢発症関節リウマチと定義され、手指の小さい関節だけでなく、肩やひざなど大きい関節の症状が強く、若い人と比べて血液検査で診断しにくい傾向があるという。

 

油断できないのは、加齢によって関節リウマチと似た疾患が出てくること。「年のせいだから」と放置されたり、診断が遅れてしまうことが少なくない。

 

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