年末年始は感染対策が完全に手薄に…「インフルエンザ2度め感染」の危険性
画像を見る 秋田県は県内の高齢者施設で集団感染、死亡者が出たと発表(写真:共同通信)

 

■A型B型あわせて3回感染する危険性も

 

では、現在はどのような型が流行しているのだろうか。

 

「季節性インフルエンザといわれるA型が流行していますが、A型H1とA型H3が5:5の割合。それぞれ免疫が異なるため、どちらかに感染しても、もう一方の型に感染する可能性があるのです」

 

専門家のなかには、今年は流行の開始が早かったので、収束も早いという楽観的な見方も。

 

「仮にそうだとしても、例年、A型の流行が収まると、年間を通して散見されるB型が目立ってきます。12月、1月にB型がはやりだすと1シーズンに3回も感染する危険性があるのです」

 

そもそもインフルエンザは、高齢者や子供にとっては高いリスクのある病気だ。

 

「高齢者の場合は、インフルエンザを発症することで体の抵抗力が弱まり、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などによる細菌性肺炎を引き起こしてしまうことがあります」

 

’20年には、アメリカでインフルエンザによる死者は1万人を超えたほど。甘く見るのは危険なのだ。

 

「子供で注意すべきはインフルエンザ脳症です。インフルエンザに罹患して脳が炎症を起こし、けいれん、異常行動、人の名前がわからなくなるなどの意識障害をもたらしてしまいます。死亡率が30%、後遺症が残る可能性が25%と高いため、要注意です」

 

インフルエンザに複数回感染すれば、それだけ肺炎などを起こす可能性は高まる。

 

「また、感染後、抵抗力や免疫力が落ちているときに、連続して別の型のインフルエンザに感染すれば、重症化するリスクは高くなると考えられます」

 

一度、感染したからといって安心できないのが、今シーズンのインフルエンザ。複数回感染を防ぐためにも、予防が求められる。

 

「もっとも重要なのは、ワクチンを接種すること。今年のワクチンは、現在、流行しているA型H1やA型H3、B型など4種類に対応しています。

 

その効果に関して、たとえばアメリカのCDCは、ワクチン接種で医療機関に受診するリスクを40〜80%減少させると報告しています。また’21年に発表された論文でも、ICUの入室リスクを26%、死亡リスクを31%抑制するという結果でした。重症化を防ぐ効果があるのです。

 

ワクチン効果は5カ月ほど続きます。今年はワクチン数が潤沢なので、まだ間に合うはずです」

 

費用はクリニックなどで3千500円から5千円ほど。自治体によって、65歳以上は無料となったり、子供は1千円ほどの補助金が出る場合もある。

 

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