「私はインドやネパールの定番レシピ『キャベツのスパイス炒め』(以下、スパイスキャベツ)が好きで、オリジナルレシピを考案し、よく作って食べています。スパイスとキャベツの組み合わせはおいしいうえに、抗がん作用や免疫力アップなど健康効果も抜群。美肌やダイエットなど、女性にとってうれしい効果も期待できます」
こう話すのは、スパイス料理研究家の印度カリー子さん。東京大学大学院で「肥満症とスパイスの関係」を研究していた筋金入りのスパイス通だ。印度カリー子さん自身も、約5年前にスパイスを中心とした食生活に変えて以降、7キロもの減量に成功している。
「スパイス生活に変えてから、約1年半でゆっくりと体重が減りました。1カ月で約500グラム減。ダイエットを頑張ったという意識もなく、自然と体重が落ちていったのです。スパイスを摂取すると、強い香りと刺激的な味により、食事の満足度が高くなり、食後に甘いものを食べたいと思わなくなる。ストレスなく自然に痩せられるため、リバウンドせず体形維持できています」
スパイスやキャベツ自体、健康・美容効果も高い。印度カリー子さんオリジナルレシピのスパイスキャベツで使用するスパイスはターメリック、クミン、コリアンダーの3つだ。チリパウダーやマスタードシード、フェヌグリークシードなどのスパイスを使えば、もっとうま味もアップするが、3つの基本スパイスだけでも、十分にカレーらしい香りを演出できるという。
「ショウガ科のターメリックの別名は秋ウコン。強力な抗酸化作用があり、アンチエイジングや美肌効果があります。肝臓を守り、二日酔い予防効果も一般によく知られていますよね。主要成分のクルクミンは免疫の正常化、がんの抑制、動脈硬化の予防などが期待できます。セリ科のクミンは抗菌作用があり、糖の代謝を抑制して、糖尿病の予防効果も。セリ科のコリアンダーはコレステロール値や中性脂肪値を減少させます」(印度カリー子さん)
そして、キャベツはイソチオシアネートやインドールという成分に抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防に◎。疲労回復や抗酸化作用のあるビタミンC、骨粗しょう症予防や肝機能を助けるビタミンK、胃腸の働きを改善するビタミンU、便通を改善し腸内環境を整える食物繊維なども豊富だ。
「がんの予防効果が高い食品を示す『デザイナーフーズ・ピラミッド』がアメリカの国立がん研究所(NCI)により公開されています。約40種類の食品のうち、スパイスキャベツで使用するキャベツ、にんにく、しょうが、ターメリック、玉ねぎ、トマトが上位を占めています。スパイスキャベツは抗がん作用に効果てきめんのレシピですね」(印度カリー子さん)
そんな、印度カリー子さん直伝の“無敵”スパイスキャベツの作り方は次のとおり。
【スパイスキャベツの作り方】
〈材料〉4人分
キャベツ…1/2玉(400〜500g)
玉ねぎ…1/2個(100g)
トマト…1/2個(100g)
にんにく…3かけ
しょうが…1かけ
水…100ml
ココナツミルク…100ml
塩…小さじ1
油…大さじ1
スパイス(コリアンダー…小さじ1、クミンパウダー…小さじ1、ターメリック…小さじ)
〈作り方〉
(1)フライパンに油を入れ、みじん切りにしたにんにくとしょうが、薄くスライスした玉ねぎを炒める
(2)玉ねぎがあめ色になるまで中火で5分ほど炒める
(3)ざく切りにしたトマトを加え、ヘラなどで実を潰してペースト状にする
(4)スパイス3種を加え、弱火で1分ほど炒める
(5)ココナツミルク、ざく切りにしたキャベツ、塩、水を加える
(6)全体を混ぜながら5分ほど煮る。塩で味を調えたら完成
〈ポイント〉
上手に作るコツはつぎの4つだ。1・玉ねぎはスライサーを使いできるだけ薄くスライスする。薄さ1mm以下が望ましい。2・玉ねぎはしっかりあめ色になるまで中火で炒める。3・ココナツミルクを牛乳や豆乳で代用しない。代用品だとコクがなくなりおいしくなくなる。4・味が物足りないときはスパイスではなく塩を足す。塩によりスパイスの香りを感じやすく、ココナツミルクのコクがアップする。冷蔵保存で約5日もつ。
実際に食べてみると、スパイスとココナツミルクがまろやかにマッチして、クセもなく食べやすくおいしい。キャベツは火が通ると甘味が増すうえ、かさが減るため、たくさん量を食べられる。キャベツの食べ応えがあり、白飯を食べなくて済むほど満足感も! キャベツは安価で経済的。通年で入手できるのも、嬉しいポイントだ。
スパイスキャベツで健康や美容をキープしながら、猛暑日が続くこの夏を元気に乗り切ろう!