■「喫茶代」が多い岐阜県では会話が脳を刺激して認知機能を維持
健康寿命で2位になったのは山口県。高級魚ふぐで知られている山口市で、全国1位となったのは「あじ」。年間支出額は2千315円で、山口県民は全国平均の2倍以上もあじを食べている。
「県民に愛されているのは地元ブランド“瀬つきあじ”で、毎年6月3日は“あじの日”になっています。郷土愛が強い山口県民は全国各地から集まってくるふぐよりも、安くて栄養価が高く近海で取れるあじを好んで食べているのでは」(県庁職員)
そんなあじも健康寿命の伸びに大きく関係しているという。
田中先生が解説する。
「あじだけでなく、『家計調査3年平均』を見ると『さば』(5位)、『いわし』(8位)と山口県民は青魚をとても多く取っていることがわかります。青魚には、オメガ3脂肪酸の一種であるDHAとEPAが豊富に含まれています。認知機能の改善効果が期待できるDHAと中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させるEPAは、どちらも抗炎症作用があり、大規模研究では、摂取する習慣のある人は、すい臓がんのリスクが30%低下、肝臓がんのリスクは3分の2になると報告されています」
3位にランクインしたのが岐阜県。岐阜市で支出額が全国一だったのが『えのきたけ』。腸内環境を整える食物繊維や骨を強くするビタミンDが豊富なきのこが健康寿命に関与していそうだが、田中先生は支出額が5位だった「喫茶代」にも注目している。
「岐阜には、全国有数の喫茶文化があり、喫茶代の支出額が『家計調査3年平均』で1位(1万4千750円)です。コーヒーには、抗炎症作用のあるクロロゲン酸が老化を促す活性酸素の働きを抑えるなどの健康効果がありますが、それ以上に、友達同士で語り合うことが大きなポイント。気の置けない同士の会話は脳をフルに刺激して認知機能の維持に大いに役立ちます。また喫茶店まで行くことも運動になり、足腰の強化にもつながります」
あの織田信長が根づかせたとされる「もてなし精神」がある岐阜では、充実したモーニング(岐阜県は「卵」の支出額も2位)や、薬局とコラボして喫茶店で健康相談できるサービスも。そんな“おもてなし喫茶文化”がさらに健康寿命を引き延ばしていきそうだ。