■海がないのに魚介類を多く取っている山梨県は健康志向
健康寿命で4位となった山梨県。名産の「ぶどう」が甲府市では支出額で1位になったのは当然として、海がないのに「まぐろ」が3位に。さらには「あさり」は日本でもっとも食していることが明らかになった。
「健康寿命ではいつもトップクラスの山梨県民が、魚介類を積極的に取っているのは健康意識の高さのあらわれでしょう。とくにあさりは、酸素を体の隅々まで運搬し、エネルギーを燃やしやすくするなどの働きがある鉄や、筋肉や骨、皮膚、臓器に含まれ、タンパク質の合成や酵素の生成に関わる亜鉛が豊富。どちらも長寿のためには意識して取りたい栄養素です。
また山梨県には『無尽』という古くから伝わる地域の集まりがあり、高齢になっても交流の機会が多いことも健康寿命の長さに関わっているのでしょう」
さらに山梨県は、65歳以上の就業率が全国2位と高い。働くことで適度な緊張感と責任感が生まれ、健康をキープさせるようだ。
健康寿命で5位となったのは宮崎県。宮崎市の支出額が高かったのは「餃子」(2位)、「緑茶」「あじ」(ともに3位)と、これまで紹介した長寿を支える食材が上位に入っている。さらに「米」の支出額が全国一だ。
「生きていくうえでのエネルギー源となる米は、タンパク質も入っている大切な栄養素。食べすぎると血糖値コントロールが難しくなるので要注意。その点、宮崎ではキャベツの支出額が多い。キャベツに多く含まれる食物繊維は、腸内の有用(善玉)菌のエサになり、腸内環境を整えるだけでなく、食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きも。また、キャベツに含まれる『イソチオシアネート』というフィトケミカルは、体内で発がん物質を解毒する酵素の働きを活性化します。キャベツに多いビタミンKは、骨を丈夫にする効果が期待されています」
温暖で南国情緒にあふれた宮崎県人たちの性格は“おっとり系”が多いといわれるが、健康意識については“しっかり系”が多いようだ。
最後に田中先生が語る。
「これだけを食べていれば元気で長生きするという食材はありません。寿命の続く限り健康であることをかなえるためには、健康にいいとされる食材をバランスよく適量摂取することです」
健康県の食生活を参考に、いつまでも元気で過ごそう!
