■世界中で咳止め効果が実証される“はちみつ”
「長引く咳に対して、民間療法である“はちみつ”が有効であるという説があります。はちみつは、古くから医学とは切っても切れない食物。実際、はちみつの効果を裏付ける研究データは数多くあります」
一例をあげるとペンシルベニア州立大学医学部小児科で、2歳から18歳まで105人の子どもを対象にした調査で、就寝前にはちみつを「ティースプーン1杯とる」と咳の頻度が減るという結果が示された。
「これは、対象者を『咳止め薬を服用』『ティースプーン1杯のはちみつをなめる』『何もせず様子を見る』の3群に分けた無作為調査で、スプーン1杯のはちみつを与えられた群の咳の頻度が減少したというものです」
また、イスラエルのペタ・ティクバのクリニックで行われた比較調査では、はちみつの種類で検討した報告も。
「『ユーカリはちみつ』『柑橘類はちみつ』『シソはちみつ』を各グループが10g摂取したところ、子どもの咳が軽減しただけでなく、大人の睡眠の質も改善される結果に。これらのことから、はちみつは種類を問わず既存の咳止め薬と同等以上の効果を得られるといえるのです」
■はちみつにコーヒーをプラスすることで効果が倍増!
さらに、倉原先生が注目するのが、イランの「はちみつ+コーヒー」の合わせ技による咳止め効果だ。コーヒーに市販の砂糖や人工甘味料を加えた味を好む人はいるが、はちみつとは意外な組み合わせではないだろうか。
調査はイランの医療機関で成人患者97人(平均年齢40歳)を対象に、1週間、8時間ごとに、お湯200mlにはちみつ20.8g(大さじ1)とインスタントコーヒー2.9gを溶かしたはちみつコーヒーを飲んだ群、ステロイド、鎮咳薬「グアイフェネシン」を飲んだ群を比較したところ(表1参照)、画期的な結果が示された。
「飲み始めて1週間後の咳の頻度を比較すると、はちみつコーヒー群とステロイド群は頻度が減少。特にはちみつコーヒー群は咳の強さをあらわすスコアがゼロに近い値にまで下がっています」
■実際、本誌記者も1週間で効果を実感!
そこまで優れた効果を期待できるとは。さっそく記者も1週間、試飲してみることに!
気になる「はちみつ+コーヒー」の味だが、ほんのりした甘味がコーヒーの苦味と酸味を損なわない絶妙なバランスで好相性。
結果は、これまで日中に何度も激しい咳に襲われていたのだが、7日目には咳き込むことがなくなった。なぜ、治ったのだろう?
「実は、はちみつで咳が治まる科学的根拠は解明されていないのですが、抗菌作用と複数の抗酸化物質を含有していること、甘味を感じる神経が喉に作用しているからという見解はあります。
そして、気管支拡張成分が含有されているコーヒーとはちみつとの飲み合わせで咳止めの相乗効果が得られるのでしょう」
咳止めの薬に頼らなくてもいいのでありがたい。
「ただし、1歳未満の乳児にはボツリヌス症を起こすリスクがあるため、はちみつを与えることは厳禁です。また、しつこい咳の中には違う病気が隠されていることもあるので、改善しないのであれば受診をおすすめします」
しつこい咳に悩まされているという人は、あま~いはちみつコーヒーで、喉をいたわってみてはいかがだろう。
画像ページ >【グラフあり】はちみつコーヒーの鎮咳効果(他1枚)
