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6月のうちに全国各地で猛暑日を観測するなど、この夏も記録的な暑さが広がりそうだ。気象庁が発表した7月から9月にかけての3か月予報も、全国的に厳しい暑さとなるため、注意を呼び掛けている。

 

「猛暑の時季は、熱中症や胃腸トラブルなどの不調に陥る人が続出します。同時に、見た目にはわかりにくいですが、私たちの体の重要な機能を担っている肝臓も大きなダメージを負っているのです」

 

そう警鐘を鳴らすのは、肝臓専門医で栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長だ。

 

「肝臓は血液から有害な物質を取り除き、 栄養を含ませてから全身へ循環させる働きをします。タンパク質や脂肪の分解をして消化を助ける代謝機能も肝臓の役目。さらに脂肪の分解を促す胆汁の生成、アルコールなどの分解・解毒も担う、とても重要な臓器です」(栗原先生、以下同)

 

しかし、機能が衰えてもSOSのサインを出さないため“沈黙の臓器”といわれている。その肝臓への負担が大きくなるのが夏なのだという。

 

「暑い時期には冷たいものを多く取る、お酒の量が増える、睡眠不足になるという人は多いでしょう。暑さの影響にこれらの負担が重なり、肝臓の循環や代謝の機能が追いつかなくなると、血液中の有害物質の量が増え、疲労感、食欲不振などを招いてしまうのです」

 

肝臓疲労は夏バテのリスクを加速させてしまうことになるのだ。

 

「体のためによかれと思っていた習慣が、じつは肝臓へのダメージにつながることも少なくありません。真夏の熱中症や夏バテ対策にも注意が必要です」

 

今回は、私たちがやりがちな“肝臓を疲れさせる習慣”について栗原先生に解説してもらった。

 

まずは、暑さ対策の基本である水分・栄養補給から。

 

【スポーツドリンクで熱中症を予防】

 

「スポーツドリンクは水分補給に適した飲み物というイメージがありますが、じつはかなりの糖分を含んでいます。こまめに飲んでいたらあっという間に糖分過多に。肝臓に運ばれた糖分が中性脂肪に変わり、蓄積されてしまいます。もちろん熱中症対策の水分補給は必須ですから、その際は麦茶がおすすめ。スポーツドリンクであれば2~3倍に希釈するようにしましょう」

 

また、50代の女性は突出して糖分の摂取量が多いというデータもあるので、いっそう気をつけたほうがよいという。

 

暑さに負けずシャキッとしようとするシーンにも注意が必要。

 

【暑さ疲れを感じたらエナジードリンクを活用】

 

「糖分もさることながら、注意したいのがカフェインの量。糖質に大量のカフェインが加わることで、肝臓で糖分の吸収が促進され、脂肪肝を招きます」

 

脂肪肝を放置していると、肝機能低下だけでなく、肝炎や肝硬変のリスクが高まってしまう。

 

【夏バテ予防にカレーやうな重をしっかり食べる】

 

「ごはんを多めに盛ることが多いため、糖質過多になりがちなうえ、カレーや丼ものは早食いになりやすく、これも糖の吸収を促進させます」

 

また、うな重のタレは甘味をつけるため糖分が多く含まれている。カレーの香辛料は極端に多いと肝臓への刺激となるため、激辛メニューは避けてほしいと栗原先生は話す。

 

夏太りを気にするがための食べ方の工夫にも落とし穴が。

 

【サラダには肥満防止にノンオイルドレッシング】

 

「ノンオイルドレッシングには果汁や果糖ブドウ糖液糖などの糖質が多く含まれています。さらに、油が含まれていないため糖の吸収が速くなるのです。この点で、サラダにはマヨネーズがおすすめです」

 

マヨネーズに含まれる脂質が糖分の吸収を緩やかにし、血糖値急上昇の防止にもなる。

 

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