■「年のせい」と思ったイボから胃がんを早期発見!
さらに、肌を露出する季節に気になるのがイボだ。加齢によって首や背中に増えるので「年のせい」と思って諦めがちだが、数週間から数カ月で急激に増えたようなら、がんの可能性が高い。
「ありふれた通常のイボならかゆみはなく、数年かけて少しずつ増えます。かゆみを伴う場合は、かなり疑わしいです。私が診た患者さんのなかにも、『あちこちにイボができた』と皮膚科を訪れ、結果胃がんが見つかったという60代の女性がいました。早期の胃がんは、自覚できる症状がないため発見が遅れやすいのですが、その方はイボがきっかけで早めに対処でき、外科手術によって一命を取りとめました」
さらに、虫刺されのような症状にも、がんが潜んでいる。
「夏風邪の症状に加えて、虫刺されのような、痛みのある赤い湿疹がポコポコと現れたら『スウィート病』かもしれません。軽いものなら虫刺されそっくりですが、重症化すると中心が黒く壊死が見られます。女性に発症することが多く、白血病のサインかもしれないため、なかなか治らない場合は、受診したほうがよいでしょう」
口周りの湿疹も見逃せない。
「赤い湿疹が口の周りや腕、足の付け根に繰り返し出るなら、『グルカゴノーマ』という腫瘍かもしれません。ホルモンを出す膵臓の細胞が異常に増えることで現れる症状です。食欲が落ちて夏バテぎみのような症状も見られたら、さらに疑いが高いです」
ほかの「皮膚に現れるがんサイン」は図表を参照してほしい。
ありふれた皮膚の症状を見逃さず、がんの早期発見につなげるためのコツはあるのだろうか。
「ポイントは3つあります。1つ目は、急激な変化を見逃さないことです。虫刺されのはずなのに全身に出てくる、変わった場所に赤みが広がったなど『いつもと違う』も異変のサインです。2つ目は、市販薬で対処しても1週間以上治らないとき。3つ目は、発熱や筋肉痛、倦怠感、体重減少など、皮膚以外の全身症状を伴っている場合です。このような症状があれば、デルマドロームを疑いましょう」
さらに、皮膚科を受診するときの伝え方にも気を付けたい。
「皮膚科では肌のトラブル以外の症状を聞かれることはまれで、反対に、内科では皮膚症状は別の問題として話さないことも多い。こういった経緯で見逃されているケースは多いはずです。医師の質問に答えるだけでなく、“おかしいな”と感じていることをしっかり伝えることで、正しい診断につながり、がんを早期発見できる可能性が高まるのです」
内臓の不調は、体の内側だけに現れるわけでない。皮膚になかなか治らない症状があるなら、早めの診断を!
画像ページ >【図解あり】皮膚に現れる大病のサイン10(他1枚)
