「いくら料理が得意な人でも、無駄な動きは意外と多いもの。何度も冷蔵庫に足を運んだり、洗い物をするハメになったりして、知らず知らずのうちにストレスがたまります。それなら、無駄なく動けるよう、台所仕事をルール化してみてはどうでしょうか」
そう語るのは、生徒数が800人を超す人気料理教室を主宰する料理研究家の高木ゑみさん(29)。飲食店での修業経験もある高木さんは「一分一秒を争うプロの料理人の作業には、まったく無駄がない」と話す。
そんな高木さんが、食材の買い出しから調理、台所の収納までを無駄なくこなせるようルール化した内容をまとめた著書『考えない台所』(サンクチュアリ出版)が、今、注目を集めている。今回、同書からすぐに実践できる「調理編」を5カ条としてまとめ、教えてもらった。
【1】冷蔵庫の食材は、一度で全部取り出し、全部しまう
「冷蔵庫と作業場を何度も往復するのは動きの無駄。料理の前に、使う食材をトレイにのせてまとめて出します。出した野菜は、一気に『洗う、むく、切る』を行い、残ったものはまたトレイにのせて戻す。これで冷蔵庫と作業場の往復が一度で済みます」
【2】野菜を切るタイミングは1回だけ
「混乱しないためにも、一気に切ってしまうことをおすすめします。先にスープ用の野菜だけ切り、スープを火にかけている間に野菜炒め用を切るのは、一見効率がよさそうですが、使う野菜の配分を間違えてメインの分が足りなくなったり、余らせてしまうことも。一度に切ってしまうほうが、無駄なく使えます」
【3】包丁以外のツールを使う
「包丁で切るより、用途に合わせてはさみやスライサー、フードプロセッサーを使うと早く済みます。私は、ハム、チーズ、にら、きのこなどははさみで切ってしまいます。サラダに使う水菜なども、ボウルの上で直接切ると楽です」
【4】白いものから切り始める
「野菜を切るときは、白い野菜から始め、黄色、赤、黄緑、緑の順に切れば、色素がつきにくく、わざわざ途中で洗う必要はありません。肉や魚を切るときは、プラスチックのシート状のまな板を上に重ね、その上で切りましょう」
【5】毎朝食卓に出すものは1カ所にまとめる
「わが家の朝食は、夫は和食、私はパン、息子はシリアルで、全員バラバラ。準備をラクにするために、取っ手つきのストッカーに、それぞれ必要なものを『朝のお供セット』としてまとめて、冷蔵庫に入れておきます。味噌汁セットは、味噌、豆腐、刻みねぎ。パンセットにはバター、ジャム、ヨーグルトなど。梅干しや漬け物などのごはんセットは、そのままテーブルに出しても見栄えがするよう、小じゃれた器とお盆に入れています。サッと出せるので、朝の貴重な時間を節約できます」
冷蔵庫と調理台を何度も行ったり来たり……など「私の家事、細々したロスが多い」と思っているあなた、無駄のないルールを習慣化してみませんか?